18:15 〜 19:30
[HSC25-P06] 東北地方太平洋沖地震による内陸部における液状化発生域の地形条件と液状化発生面積率
キーワード:液状化, 地形区分, 旧河道・旧湖沼, 埋立造成年代, 東北地方太平洋沖地震
Google Earth画像の判読と現地調査(目視観察)で得られた東北地方太平洋沖地震による液状化発生地点と液状化被害のデータに基づいて,GIS上で液状化発生域のポリゴンデータを作成し,関東地方と東北地方の複数の内陸平野部における地形区分ごとの液状化発生面積率(各地形区分の面積に対する各地形区分における液状化発生面積の比率)を推定した.また,多くの領域で埋め立ての経緯が判明している利根川下流域の旧河道・旧湖沼を対象として,液状化発生域と旧河道・旧湖沼の埋め立て年代(地盤形成年代)との関係を検討した.
液状化発生域のポリゴンデータは,Google Earth画像の判読から液状化発生の指標となる噴砂を抽出し,Google Earth画像の判読では噴砂の抽出が困難な市街地に関しては現地調査から得られた噴砂や液状化に起因すると思われる構造物被害などの分布に関するデータを用いることによって作成した.マンホールの浮き上がりやアスファルト路面の線状沈下に関しては,周囲の地盤に噴砂が認められない場合はマンホールや下水道管渠等の埋め戻し土のみに生じた局所的な液状化に起因すると推定され,GIS上でポリゴンデータとしての取得が困難であるため,本研究の液状化発生域には含んでいない.地形区分は,基本的に国土地理院発行治水地形分類図と土地条件図に基づいたが,旧河道等の過去の水域に関しては,旧版地形図等も参考にした.旧河道・旧湖沼の埋立年代は,迅速測図,旧版地形図,米軍・国土地理院撮影の空中写真や文献資料等に基づいて判断した.
利根川下流低地(我孫子市~香取市)では,液状化発生域の約40%は旧河道・旧湖沼であり,それに次いで,後背湿地が約25%であった.しかし,本地域に占める後背湿地の面積比率は50%弱と他の地形よりも大きい値であり,地形区分ごとの液状化発生面積率を求めると,旧河道・旧湖沼では約23%であったのに対し,後背湿地では約1%と干拓地や自然堤防などよりも小さい値であった.このことから,本地域では旧河道・旧湖沼において液状化が高密度に集中的に生じ,液状化が生じやすいのに対し,後背湿地は氾濫平野を構成する他の地形よりも相対的に液状化が生じにくいことが示された.液状化が集中的に生じた旧河道・旧湖沼の埋立年代ごとの液状化発生面積率をみると,1950,60年代に埋め立てられた領域では約46%と高い値を示したのに対し,明治後期の利根川改修工事(1906年)以前に陸域化されていた領域では1%未満であり,埋立年代が新しい旧河道・旧湖沼ほど液状化が生じやすい傾向がみられた.
宮城県北部大崎平野における地形区分ごとの液状化発生面積率は,旧川微高地を除くすべての地形で利根川下流低地よりも小さい値を示した.しかし,JR古川駅周辺などの粘性土地盤(泥炭地盤)からなる地域では,マンホールの浮き上がりやアスファルト路面の沈下,建物周辺地盤の沈下(抜け上がり)など,GIS上でポリゴンデータとして取得困難な局所的な(埋め戻し土の)液状化が多数生じていた.利根川下流低地では,明治後期の利根川改修工事以降陸域化された領域の多くは利根川浚渫土を用いて埋め立てられ,液状化が生じやすい砂質土で埋積された若齢地盤(旧河道・旧湖沼)が相対的に広く分布しているのに対し,大崎平野では利根川下流低地と比べて旧河道・旧湖沼の面積比率が小さく,さらにその中でも明治後期以降に埋め立てられた領域は少ない.
以上のことから,内陸部における液状化の生じやすさの面的分布を推定するうえで,旧河道・旧湖沼の分布,陸域化の経緯やその埋立材料,埋立造成年代等に関する情報の取得は重要である.また,砂質土地盤では一定の面的広がりを持った領域において噴砂や構造物の沈下・傾動等の構造物被害が生じやすいのに対し,泥炭地盤では埋め戻し土の液状化に起因する局所的被害(マンホールの浮き上がり等)が顕著な場合があり,地形区分(表層地盤の土質)によって異なる液状化被害形態が生じることにも考慮する必要がある.
液状化発生域のポリゴンデータは,Google Earth画像の判読から液状化発生の指標となる噴砂を抽出し,Google Earth画像の判読では噴砂の抽出が困難な市街地に関しては現地調査から得られた噴砂や液状化に起因すると思われる構造物被害などの分布に関するデータを用いることによって作成した.マンホールの浮き上がりやアスファルト路面の線状沈下に関しては,周囲の地盤に噴砂が認められない場合はマンホールや下水道管渠等の埋め戻し土のみに生じた局所的な液状化に起因すると推定され,GIS上でポリゴンデータとしての取得が困難であるため,本研究の液状化発生域には含んでいない.地形区分は,基本的に国土地理院発行治水地形分類図と土地条件図に基づいたが,旧河道等の過去の水域に関しては,旧版地形図等も参考にした.旧河道・旧湖沼の埋立年代は,迅速測図,旧版地形図,米軍・国土地理院撮影の空中写真や文献資料等に基づいて判断した.
利根川下流低地(我孫子市~香取市)では,液状化発生域の約40%は旧河道・旧湖沼であり,それに次いで,後背湿地が約25%であった.しかし,本地域に占める後背湿地の面積比率は50%弱と他の地形よりも大きい値であり,地形区分ごとの液状化発生面積率を求めると,旧河道・旧湖沼では約23%であったのに対し,後背湿地では約1%と干拓地や自然堤防などよりも小さい値であった.このことから,本地域では旧河道・旧湖沼において液状化が高密度に集中的に生じ,液状化が生じやすいのに対し,後背湿地は氾濫平野を構成する他の地形よりも相対的に液状化が生じにくいことが示された.液状化が集中的に生じた旧河道・旧湖沼の埋立年代ごとの液状化発生面積率をみると,1950,60年代に埋め立てられた領域では約46%と高い値を示したのに対し,明治後期の利根川改修工事(1906年)以前に陸域化されていた領域では1%未満であり,埋立年代が新しい旧河道・旧湖沼ほど液状化が生じやすい傾向がみられた.
宮城県北部大崎平野における地形区分ごとの液状化発生面積率は,旧川微高地を除くすべての地形で利根川下流低地よりも小さい値を示した.しかし,JR古川駅周辺などの粘性土地盤(泥炭地盤)からなる地域では,マンホールの浮き上がりやアスファルト路面の沈下,建物周辺地盤の沈下(抜け上がり)など,GIS上でポリゴンデータとして取得困難な局所的な(埋め戻し土の)液状化が多数生じていた.利根川下流低地では,明治後期の利根川改修工事以降陸域化された領域の多くは利根川浚渫土を用いて埋め立てられ,液状化が生じやすい砂質土で埋積された若齢地盤(旧河道・旧湖沼)が相対的に広く分布しているのに対し,大崎平野では利根川下流低地と比べて旧河道・旧湖沼の面積比率が小さく,さらにその中でも明治後期以降に埋め立てられた領域は少ない.
以上のことから,内陸部における液状化の生じやすさの面的分布を推定するうえで,旧河道・旧湖沼の分布,陸域化の経緯やその埋立材料,埋立造成年代等に関する情報の取得は重要である.また,砂質土地盤では一定の面的広がりを持った領域において噴砂や構造物の沈下・傾動等の構造物被害が生じやすいのに対し,泥炭地盤では埋め戻し土の液状化に起因する局所的被害(マンホールの浮き上がり等)が顕著な場合があり,地形区分(表層地盤の土質)によって異なる液状化被害形態が生じることにも考慮する必要がある.