日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC25_30PO1] 人間環境と災害リスク

2014年4月30日(水) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、鈴木 康弘(名古屋大学)、小荒井 衛(国土地理院地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室)、須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、宇根 寛(国土地理院)、中村 洋一(宇都宮大学教育学部地学教室)、松本 淳(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻)、後藤 真太郎(立正大学地球環境科学部環境システム学科)、原 慶太郎(東京情報大学総合情報学部)

18:15 〜 19:30

[HSC25-P10] 国内外における津波ハザード関連情報の公開事例の概観

*長田 正樹1中村 洋光1平田 賢治1大角 恒雄1藤原 広行1 (1.防災科学技術研究所)

キーワード:津波, ハザード情報, 公開, ハザードマップ, 利活用

津波防災を進めるにあたって、津波ハザードにかかわる情報が国、自治体、民間それぞれのレベルの事前対策の中で有効に活用され得るよう発信されることが必要である。防災科研では、平成24年度より全国を対象とした津波ハザード評価にかかわる研究(藤原・他、2013、合同大会、平田・他、2014、本大会)を開始しているが、その一環として平成25年度から津波ハザード情報の利活用に関する調査・検討を始めている。ここでは、まず初めに津波ハザードに関する情報が公的機関・組織からどのような内容・形で提供されているか国内外の現状について調べたので報告する。防災科研の津波ハザード評価の主要な利用者には自治体があるので、今回の調査の対象として自治体等が一般の住民などへ公開している情報とした(2013年7月時点、学術論文・報告は原則除外)。調査は、インターネットにより、国内では沿岸部を持つ都道府県および国外では5か国(9地域)について行った。調査の結果は、1)情報の種類、2)公開の方法 の二つの観点からまとめた。1)情報の種類としては、1a)津波高さ分布図(オーストラリア;確率論的評価に基づいた沿岸での津波高さを公開)、1b)浸水予測図(日本国内の自治体、米国オレゴン州、米国ワシントン州など;発生が懸念されている最大クラスの津波について浸水深さ地図、チリなど;過去の津波の浸水実績の地図、インドネシア;想定される津波による確率論的浸水を予測した地図)、1c)津波避難地図(ニュージーランド・オークランド市、米国オレゴン州、米国ハワイ州など;津波の危険度もしくは津波警報のレベルに応じ避難対象エリアを示したもの)、1d)建築制限などの法的規制を目的とした浸水範囲図(米国オレゴン州)、などであった。2)情報の公開方法としては、基本的にはハザード情報を記載した地図をPDF形式で公開しているものが大半(日本国内では全例)である。また、一部では、Web Mappingによりインタラクティブな情報提供(米国ハワイ州)、KML(オーストラリア)などのデータとして提供など、利用者の二次利用を意識した方法を積極的に採用しているところもあった。津波ハザード情報を発信する際には、発信の目的に合わせ、情報の特質とそれぞれ地域の実情を考慮した多様な方法が採用されている現状にあると推測される。今後、確率論的津波ハザード評価結果の利活用を図る際にも、目的を明確にした情報発信方法を検討する必要がある。