18:15 〜 19:30
★ [HTT08-P01] SfM-MVS (Structure from Motion and multi-view stereo) 技術の地形計測への活用
キーワード:SfM (Structure from Motion), MVS (multi-view stereo), 地形計測, 詳細地形図, 動画, 空中写真
近年、Structure from Motion (SfM)とmulti-view stereo (MVS) 技術を統合したソフトウェアが開発され、PCで簡易かつ低コストに三次元モデルの構築が可能となった。SfM、MVSともに、コンピュータビジョンの分野で開発された技術である。SfMにより複数の画像からカメラの位置を推定し、MVSにより三次元モデルを生成する。計算ソースに用いる画像には、民生用のデジタルカメラ画像や、空中写真をスキャンしたデータを利用できる。さらに、三次元モデルの生成処理は、コンピュータがほぼ自動で計算する。これまでは、伝統的な空中三角測量やLiDARによりDEMを取得してきた。しかし、空中三角測量は高価なソフトウェアと熟練技術者が必要であり、LiDARは高コストである。SfM-MVSを地形計測に活用するにあたり、計測精度の検証や正確なGCPの設置などの課題がある。しかし、多くの研究者によって、これらの課題に関する検討が進められている。したがって、ここでは3つの例を挙げて、SfM-MVSの利活用について議論する。
最初は、詳細な地形図の制作に関する事例である。2013(平成25)年10月16日未明、東京都の伊豆大島の東斜面において、台風第26号による豪雨によって大規模な斜面崩壊が発生した。斜面変動地形の詳細なDEMを取得するため、UAVで垂直写真を撮影し、SfM-MVSによってDEMを生成した。この結果、0.5 m間隔の等高線を持つ地形図を作成した。この地図は、国土地理院が公開する解像度5 mのLiDARデータと比しても、非常に精細に地形の凹凸を再現できた。
次の事例では、動画から地形図を作成することを試みた。動画は静止画に比して画像一枚当たりの総画素数が少ない。4K動画で約800万画素、HD動画で約200万画素である。さらに広角レンズを用いた場合、レンズ歪み補正によって画像の周囲が切り取られるため、計算に利用できる画素はさらに少なくなる。また、静止画に比べて圧縮ノイズが多い傾向がある。試行の結果、動画からでも地形図が作成できることを示した。ただし、通常は静止画のインターバル撮影の方が良い結果が得られる。UAVは墜落のリスクがあるため、高価な機材の搭載は避けたい。動画によるSfM-MVS処理が現実的に可能であれば、インターバル撮影機能の無い安いカメラでもSfM-MVSに活用できる。また、古い動画データから地形情報を得られる可能性がある。
最後の事例では、空中写真のスキャニングデータからDEMを得ることを目的とした。日本国内には100万枚を超える空中写真のアーカイブがある。したがって、空中写真から精度の良いDEMが得られれば、多時期比較や変化抽出が期待できる。使用した空中写真は一辺約23 cmのアナログ写真をスキャニングしたデータと、デジタル航空カメラで撮影したデータである。スキャニングは専門の業者がスキャニングを実施した。スキャニングデータは約1,270 dpiの解像度で、画像データ一枚当たりの総画素数は約1.2億画素である。デジタル航空カメラデータは、9,920×14,430ピクセルの解像度を持つ。アナログ写真は1978年に撮影され、デジタル写真は2012年に撮影された。対象地は沖縄県西表島仲間川下流域、いずれもカラー写真である。これらをSfM-MVSで処理した。この結果、両方の時代の写真ともに地上解像度0.3 mのDEMを得た。これらを比較したところ、2006年、2007年に襲来した台風による植生被害の様子が明らかになった。
これらの結果からSfM-MVS技術により簡易で低コストに地形計測が実施可能であり、過去のアーカイブの活用も可能である。今後、急速に普及することが期待される。
最初は、詳細な地形図の制作に関する事例である。2013(平成25)年10月16日未明、東京都の伊豆大島の東斜面において、台風第26号による豪雨によって大規模な斜面崩壊が発生した。斜面変動地形の詳細なDEMを取得するため、UAVで垂直写真を撮影し、SfM-MVSによってDEMを生成した。この結果、0.5 m間隔の等高線を持つ地形図を作成した。この地図は、国土地理院が公開する解像度5 mのLiDARデータと比しても、非常に精細に地形の凹凸を再現できた。
次の事例では、動画から地形図を作成することを試みた。動画は静止画に比して画像一枚当たりの総画素数が少ない。4K動画で約800万画素、HD動画で約200万画素である。さらに広角レンズを用いた場合、レンズ歪み補正によって画像の周囲が切り取られるため、計算に利用できる画素はさらに少なくなる。また、静止画に比べて圧縮ノイズが多い傾向がある。試行の結果、動画からでも地形図が作成できることを示した。ただし、通常は静止画のインターバル撮影の方が良い結果が得られる。UAVは墜落のリスクがあるため、高価な機材の搭載は避けたい。動画によるSfM-MVS処理が現実的に可能であれば、インターバル撮影機能の無い安いカメラでもSfM-MVSに活用できる。また、古い動画データから地形情報を得られる可能性がある。
最後の事例では、空中写真のスキャニングデータからDEMを得ることを目的とした。日本国内には100万枚を超える空中写真のアーカイブがある。したがって、空中写真から精度の良いDEMが得られれば、多時期比較や変化抽出が期待できる。使用した空中写真は一辺約23 cmのアナログ写真をスキャニングしたデータと、デジタル航空カメラで撮影したデータである。スキャニングは専門の業者がスキャニングを実施した。スキャニングデータは約1,270 dpiの解像度で、画像データ一枚当たりの総画素数は約1.2億画素である。デジタル航空カメラデータは、9,920×14,430ピクセルの解像度を持つ。アナログ写真は1978年に撮影され、デジタル写真は2012年に撮影された。対象地は沖縄県西表島仲間川下流域、いずれもカラー写真である。これらをSfM-MVSで処理した。この結果、両方の時代の写真ともに地上解像度0.3 mのDEMを得た。これらを比較したところ、2006年、2007年に襲来した台風による植生被害の様子が明らかになった。
これらの結果からSfM-MVS技術により簡易で低コストに地形計測が実施可能であり、過去のアーカイブの活用も可能である。今後、急速に普及することが期待される。