日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT33_2AM1] UAVリモートセンシングが拓く新しい世界

2014年5月2日(金) 09:00 〜 10:45 211 (2F)

コンビーナ:*近藤 昭彦(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、長谷川 均(国士舘大学文学部地理学教室)、桑原 祐史(茨城大学工学部都市システム工学科)、井上 公(防災科学技術研究所)、座長:井上 公(防災科学技術研究所)、長谷川 均(国士舘大学文学部地理学教室)

10:30 〜 10:45

[HTT33-06] マルチコプター空撮調査の安全対策

*井上 公1内山 庄一郎1鈴木 比奈子1 (1.防災科学技術研究所)

最近のマルチローター電動ラジコンヘリコプター(マルチコプター)の急速な性能向上と価格低下によって、誰もが簡単に低高度からの空撮調査を実施できるようになってきた。今後この技術は各種野外調査の一手法として急速に普及することが予想される。一方マルチコプターは様々な原因で墜落する可能性が常にある。我々もこれまでの空撮調査と試験飛行で何回かの墜落あるいは墜落寸前の事故を経験してきた。原因は手動操縦のミス、プロペラの脱落、予期せぬ強風、バッテリーの消耗といった比較的明瞭なもののほか、GPSの受信不良や気圧高度計の誤差といった必ずしも明確でない原因によるものやそれらの組み合わせと思われる例もある。我々の飛行場所は主として非居住地であったため墜落事故も大事には至っていないが、機体および衝突した器物の破損状況から推察すると、もし相手が人間であったならば大きな怪我を負わせていた可能性が大きい。 これらに対して我々の講じている安全対策は、飛行ルートの吟味、プロペラガードの製作と装着(付図)、バッテリー容量と飛行時間の事前の把握、飛行中のバッテリー電圧の監視、日常のバッテリーの管理、機体の装着部品のチェック、飛行前のキャリブレーション、操縦者と助手との意思疎通の徹底、自動操縦の積極的活用、十分な手動操縦訓練等からなる安全運航手順の確立とその励行である。 今後マルチコプターの普及に伴い事故が多発するような事態になれば、社会に対して迷惑をかけるだけでなく、規制が強化されてせっかくの優れた技術を調査研究に活用できる機会も自ら閉ざすことになる。したがってマルチコプターの運用にあたっては考えられる安全対策を徹底して講じるとともに、利用者の間で事故例や衝突実験の例を共有して危険性を広く認識するとともに事故の原因をひとつひとつ明らかにして対策を強化することが望まれる。事故防止策の基本としての航空法および電波法の遵守はいうまでもなく、また万一の事故で第三者に危害を与えてしまった場合の補償に備えての保険加入も必要不可欠である。