09:00 〜 09:15
[HTT33-P03_PG] 小型UAV を用いた2013年ボホール地震断層の緊急調査
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:ラジコンヘリ, 写真測量, 地震断層, 013年ボホール地震
小型UAVの活用で最も効果を発揮する事例として,大地震に伴って地表に出現する地震断層などの地変のマッピングのための低空空撮を挙げることができる.地震断層の調査は地震の特徴を明らかにするための基本的な調査であるが,地震後の本格的な空中写真撮影や空中や地表レーザー計測などの新たな調査手法による詳細かつ緻密なデータ入手にはいずれも高価な機器や多大な外注経費を伴うため,発展途上国における緊急性の高い調査では容易に取り組めるものではない.
本報告では,2013 年10月15日にフィリピン・ボホール島で発生したM7.2(PHIVOLCS)の地震に伴って出現した地震断層を,UAVとSfM(Structure from Motion)ソフトを用いて解析した例を報告し,この手法の地形調査・活断層研究への活用の可能性を検討する.また,簡易ポールカメラを用いて,断層変位地形の詳細な観察事例も紹介する.本研究は,SATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力)の「フィリピン地震火山監視能力強化と防災情報の利活用推進」プロジェクト(研究代表者:井上 公)の成果の一部である,
調査には,DJI社製の小型UAV・Phantomを使用した.電動4ローターを持つラジコンヘリで,長さ・幅約35㎝,重量約650g,ペイロードは約350gであり,カメラを搭載した場合,5分以上の飛行が可能である.可搬性に優れ,機内持ち込み手荷物となり,海外調査にも携行可能である(但し現地国の電波法等の法令への適合の確認は必要).この機体にインターバル撮影が可能なデジタルカメラ(Ricoh GRⅢ)搭載した,調査機材は全体で約10万円であった.
UAVで撮影した複数の画像をAgisoft社のSfM画像処理ソフトPhotoscan SfM(Structure from Motion)を用いて,3D画像を作成した.付属のソフトでカメラのレンズの歪補正を行い,現地でGCP(コントロールポイント)を設定・測量し,DSM(Digital Surface Model)を作成した.さらに,GISソフトのGlobalMapper(TM)を用いて,DSMから等高線図および地形断面図を行った.
ボホール地震では,震源域の北部において,北東-南西走向の東側隆起長さ約5㎞の逆断層型地震断層がPHIVOLCSによって確認された.国土地理院は,合成開口レーダー(SAR)の解析にもとづいて,島の北西部に東北東-西南西の方向に最大変位量が1mを超える長さ約50kmの帯状の地殻変動集中域があり,その北東部に約2mの地震断層変位に対応する長さ約5kmの南側隆起の不連続を認めている(http://www.gsi.go.jp/cais/topics-topic131108-index.html).また,南西側のLoonからMaribojocにかけて海岸が約1m隆起したが,これと調和的な約10kmにわたる海岸線の海側への移動(離水)が観察された。
UAVによる地震断層の調査は,断層変位地形が明瞭に観察できるAnonang村周辺の2か所において実施した.今世紀最大の台風30号(フィリピン名:ヨランダ)が来襲した前日(11月14日)の1日のみの短時間の調査であったが,それぞれの場所で断層に沿った長さ約300mの範囲の低空撮影とGCPの設定および計測を行った.その結果,断層線の位置・形状,断層変位量に関する詳細なデータを効率的に収集することができた.
また,インターバル撮影機能のついたカメラを,長さ約5mのポールの先端に設置して逆断層先端部のおよそ10mX10m範囲の微細な変位地形の計測を試みた.その際,長さ5mの測量ポールを地表において,Local GCPの設置に活用した.
この調査によって,本調査法が地形図や空中写真の整備されていない発展途上国などの海外調査に極めて有効なものであることが実証された.また,国内においても,突発災害などの緊急調査において,研究者が容易に活用できる効率的かつ強力な調査手段として期待される.
本報告では,2013 年10月15日にフィリピン・ボホール島で発生したM7.2(PHIVOLCS)の地震に伴って出現した地震断層を,UAVとSfM(Structure from Motion)ソフトを用いて解析した例を報告し,この手法の地形調査・活断層研究への活用の可能性を検討する.また,簡易ポールカメラを用いて,断層変位地形の詳細な観察事例も紹介する.本研究は,SATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力)の「フィリピン地震火山監視能力強化と防災情報の利活用推進」プロジェクト(研究代表者:井上 公)の成果の一部である,
調査には,DJI社製の小型UAV・Phantomを使用した.電動4ローターを持つラジコンヘリで,長さ・幅約35㎝,重量約650g,ペイロードは約350gであり,カメラを搭載した場合,5分以上の飛行が可能である.可搬性に優れ,機内持ち込み手荷物となり,海外調査にも携行可能である(但し現地国の電波法等の法令への適合の確認は必要).この機体にインターバル撮影が可能なデジタルカメラ(Ricoh GRⅢ)搭載した,調査機材は全体で約10万円であった.
UAVで撮影した複数の画像をAgisoft社のSfM画像処理ソフトPhotoscan SfM(Structure from Motion)を用いて,3D画像を作成した.付属のソフトでカメラのレンズの歪補正を行い,現地でGCP(コントロールポイント)を設定・測量し,DSM(Digital Surface Model)を作成した.さらに,GISソフトのGlobalMapper(TM)を用いて,DSMから等高線図および地形断面図を行った.
ボホール地震では,震源域の北部において,北東-南西走向の東側隆起長さ約5㎞の逆断層型地震断層がPHIVOLCSによって確認された.国土地理院は,合成開口レーダー(SAR)の解析にもとづいて,島の北西部に東北東-西南西の方向に最大変位量が1mを超える長さ約50kmの帯状の地殻変動集中域があり,その北東部に約2mの地震断層変位に対応する長さ約5kmの南側隆起の不連続を認めている(http://www.gsi.go.jp/cais/topics-topic131108-index.html).また,南西側のLoonからMaribojocにかけて海岸が約1m隆起したが,これと調和的な約10kmにわたる海岸線の海側への移動(離水)が観察された。
UAVによる地震断層の調査は,断層変位地形が明瞭に観察できるAnonang村周辺の2か所において実施した.今世紀最大の台風30号(フィリピン名:ヨランダ)が来襲した前日(11月14日)の1日のみの短時間の調査であったが,それぞれの場所で断層に沿った長さ約300mの範囲の低空撮影とGCPの設定および計測を行った.その結果,断層線の位置・形状,断層変位量に関する詳細なデータを効率的に収集することができた.
また,インターバル撮影機能のついたカメラを,長さ約5mのポールの先端に設置して逆断層先端部のおよそ10mX10m範囲の微細な変位地形の計測を試みた.その際,長さ5mの測量ポールを地表において,Local GCPの設置に活用した.
この調査によって,本調査法が地形図や空中写真の整備されていない発展途上国などの海外調査に極めて有効なものであることが実証された.また,国内においても,突発災害などの緊急調査において,研究者が容易に活用できる効率的かつ強力な調査手段として期待される.