日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-AG 応用地球科学

[M-AG39_1AM1] 都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト

2014年5月1日(木) 09:00 〜 10:45 502 (5F)

コンビーナ:*平田 直(東京大学地震研究所)、佐藤 比呂志(東京大学地震研究所地震予知研究センター)、佐竹 健治(東京大学地震研究所)、鶴岡 弘(東京大学地震研究所)、堀 宗朗(東京大学地震研究所)、酒井 慎一(東京大学地震研究所)、座長:石辺 岳男(東京大学地震研究所)、橋間 昭徳(東京大学地震研究所)

09:45 〜 10:00

[MAG39-04] 2011年東北沖地震後の首都圏周辺断層にかかる応力への粘弾性的影響

*橋間 昭徳1Freed Andrew2Becker Thorsten3佐藤 比呂志1Okaya David3水藤 尚4畑中 雄樹4松原 誠5武田 哲也5石山 達也1岩崎 貴哉1 (1.東京大学地震研究所、2.パーデュー大学、3.南カリフォルニア大学、4.国土地理院、5.防災科学技術研究所)

キーワード:2011年東北沖地震, クーロン破壊応力変化, 地殻構造, 活断層, 有限要素法, 粘弾性

日本列島域は東から太平洋プレート、南からフィリピン海プレートの沈み込みが起きていて、地下で相互作用を起こしている。2011年に起きたM9東北沖地震は震源域が南北?500 km、東西?200 kmにおよび、この地域のリソスフェア?アセノスフェア系に対し、広域にわたる変形をおよぼした。また、周辺での地震発生頻度も東北沖地震前に比べて大きく増加した。このように、日本列島域の地殻変動・地震活動に対して、東北沖地震の影響は非常に大きいので、この地震が周囲に引き起こす応力の時間変化を定量的に評価する必要がある。一方、地震後の地殻変動を起こすメカニズムとしては、震源域周辺での余効すべり、アセノスフェアの粘弾性的応力緩和などが考えられている。そこで本研究では、日本列島域の三次元的な地下構造がどのように2011年東北沖地震のすべりに影響するのか、そして、東北沖地震のすべりによって周囲にどのように応力が伝播するのかを調べた。我々は、日本列島域の三次元的な地殻構造を取り入れた有限要素モデルを構築し、東北沖地震の震源域のすべりに対する変位応答関数を生成し、インバージョンによって地震時のすべり分布を求めた。観測データとしては、国土地理院による陸域のGPS観測データと海上保安庁による海域のGPS音響測距によるデータを用いた。モデル領域として4500 km×4900 km×600 kmの領域をとる。これは千島列島-マリアナ列島-琉球列島までを含む領域に対応する。プレート境界形状としては、地震活動などから求めた既存の研究を補間したものを用いた。地殻構造については、地殻の厚さを大陸側で一様に30 km、海洋側で6 kmという単純な構造であると仮定した。それより下のマントルでは、PREMモデルにしたがう弾性定数を与えた。またスラブではP波速度、S波速度が周囲よりそれぞれ5%大きいと仮定した弾性定数を与えた。モデル領域は5-100 kmの大きさの50万個の四面体メッシュによって分割した。地震時の変形に関しては、重力の影響は非常に小さかったので、この影響は無視した。インバージョンによって得られた東北沖地震のすべり分布をもとに、アセノスフェアの粘弾性緩和の効果を与えて、地震後の首都圏周辺の断層に与えるクーロン破壊応力変化を計算した。日本列島域の応力の時間変化を考える上で、現実的な地殻構造にもとづいて正確に地震時すべりを求めることは重要である。