日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-AG 応用地球科学

[M-AG39_1AM2] 都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト

2014年5月1日(木) 11:00 〜 12:45 502 (5F)

コンビーナ:*平田 直(東京大学地震研究所)、佐藤 比呂志(東京大学地震研究所地震予知研究センター)、佐竹 健治(東京大学地震研究所)、鶴岡 弘(東京大学地震研究所)、堀 宗朗(東京大学地震研究所)、酒井 慎一(東京大学地震研究所)、座長:平田 直(東京大学地震研究所)、酒井 慎一(東京大学地震研究所)

11:15 〜 11:30

[MAG39-08] 「都市機能の維持・回復に関する調査研究」の概要と射程

*中島 正愛1小鹿 紀英2梶原 浩一3野澤 貴1 (1.京都大学防災研究所、2.小堀鐸二研究所 、3.(独) 防災科学技術研究所 兵庫耐震工学研究センター )

「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト」は3つのサブプロジェクトから構成されている。サブプロジェクト②「都市機能の維持・回復に関する調査研究」は、平成17年4月から本格稼働した実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を効果的に活用し、「高層ビル等の都市の基盤をなす施設が完全に崩壊するまでの余裕度の定量化」と「都市の基盤施設の地震直後の健全度を即時に評価し損傷を同定する仕組みの構築」を達成することを目標としている。 国内観測史上最大規模の東北地方太平洋沖地震によって未曾有の大被害がもたらされ、震度5強以下であった首都圏においても、長時間にわたる長周期の揺れや湾岸域における液状化の発生、高層ビル等での什器類の転倒とエレベータ停止、ライフラインの長期間停止等によって、事業や生活の継続に支障を来たし、現在の大都市が大災害に対していかに脆弱であるかが浮き彫りになった。首都直下地震や近い将来に発生が確実視される東海・東南海・南海地震などにおいて、大都市圏は今回以上の強震動に見舞われることに疑う余地はない。大震災からの教訓であるところの「想定を上回る地震動に対する対処」と「事業や生活の継続と速やかな回復」は極めて切実である。この二つの教訓に対する工学的見地からの処方箋として、「高層ビル等都市の基盤をなす施設が完全に崩壊するまでの余裕度の定量化」と「都市の基盤施設の地震直後の健全度を即時に評価し損傷を同定する仕組みの構築」を、本サブプロジェクトの射程とした。 本サブプロジェクトの研究実施体制は、先駆的研究の適切な進捗と成果の速やかな実装の必要性に鑑みて、産学官が密接に連携する組織とし、以下の三つの個別研究テーマを軸として詳細な検討を実施している。 (1) 高層建物の崩壊余裕度定量化に関する研究開発 (2) 建物の健全度モニタリングに関する研究開発 (3) 地盤-基礎-建物系の応答評価とモニタリングに関する研究開発 2013年12月には、世界最大規模となる鉄骨造18層建物の1/3縮小試験体を対象に、試験体が崩壊に至るまでの挙動を検証する振動台実験を実施した。本論においては、本サブプロジェクトを紹介するとともに、実験結果の速報を報告する。