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[MAG39-P04] 首都圏の地震発生予測モデルの構築に向けて:地震カタログの下限マグニチュードの評価
キーワード:三次元地震発生予測モデル, 関東地方, 地震活動の評価に基づく地震発生予測検証実験, 地震カタログ
関東地方は本州弧の地殻内からフィリピン海スラブ、太平洋スラブに関連した浅発および稍深発地震の活動が活発であり、地震発生頻度の高い「深さ」が存在する。そこで私達は、地震活動の評価に基づく地震発生予測検証実験の「関東領域」で扱われている二次元地震発生予測モデル(地震の経度・緯度を予測)を発展させ、地震の経度・緯度・深さを精度よく予測する三次元地震発生予測モデルを構築することを目的として2012年から研究を開始した。Relative Intensityモデル(以下、RIモデルとする。Nanjo、2011)は、地震活動の評価に基づく地震発生予測検証実験の3ヶ月予測実験において良い成績を示したので三次元予測モデルの土台とした。RIモデルは過去の地震活動から将来の地震活動を予測する統計モデルなので、予測は使用するデータ(地震カタログ)の質の影響を受ける。マグニチュードが大きい地震の予測精度を向上させるためには長い期間のカタログを必要とするが、過去にさかのぼるほどカタログの時空間的不均質性の問題が生じる(例えば、楠城ら、2009)。よって、震源の深さ分布を考慮して地震カタログの品質評価を行った。関東地方を収録している地震カタログとして、宇津カタログ(宇津、1979および1982)(使用期間:1885年から1923年)、防災科学技術研究所が作成した地震カタログ(収録期間:1979年から2003年)、気象庁地震カタログ(収録期間:1923年から2013年)を使用した。各カタログにおける震源データの下限マグニチュード(以下、Mcとする)をMaximum curvature 法(Wiemer and Wyss、2000)により求めた。例えば、収録期間の最も長い気象庁地震カタログにおいては1923年から1970年半ばまでMcは3.7±0.4(平均±標準偏差)となり、1970年半ばから2000年にかけては観測網の整備に伴いMcの減少が見られた。また、1980年台からMcの深さ依存性が議論できるようになった。2000年から2010年における浅い予測領域(深さ0から30km)のMc(0.25±0.14)は、深い領域(60から100km)のMc(0.67±0.10)より小さい値を示した。本発表では、三次元予測空間における地震予測の精度向上のために、これらの地震カタログをどのように使用していくべきか議論する。気象庁地震カタログおよび防災科学技術研究所の地震カタログを使用しました。記して感謝します。なお本研究は文部科学省受託研究「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト」の一環として行われています。