18:15 〜 19:30
[MAG39-P05] 構造物即時被害予測のためのスパースモデリングに基づく地震動分布推定アルゴリズムの開発
キーワード:スパースモデリング, lasso, 都市災害, 首都圏地震観測網
大地震発生時、構造物の即時被害予測は二次災害を防ぐために重要であり、観測される地震波形から構造物直下の地震動を推定するプロセスと、推定された地震動を入力として、構造物の損傷を予測するプロセスからなる。構造物の損傷をより精度良く予測するためには、地震動観測データから空間的に圧倒的に密に分布した構造物における地震波形を推定するための手法を創出する必要がある。近年、首都圏地震観測網(MeSO-net)に代表される空間的に高密度な地震観測網が整備されたことを背景に、発表者らは地震観測網で得られるデータから高空間分解能を持つ地震動分布を推定するための統計学的手法の開発を行っている。
水迫[2013、卒業論文]では、テイラー展開に基づく手法を考案した。東北地方太平洋沖地震時にMeSO-netで得られた観測データに本手法を適用した結果、約0.15Hz以下の地震動分布を精度良く推定することが可能であることを示した。しかし、一般的な構造物の固有周波数は1.0~10Hzであるため、本手法を実用化するためには、0.15Hz以上の高周波成分を含む地震動分布を精度良く推定する必要がある。水迫[2013]では、恣意的にテイラー展開を一次で打ち切り、近傍の5観測点のデータから、テイラー展開における微分係数を決定したが、このような打ち切り次数と観測点の組み合わせ(以降、クラスタと称する)が、最も精度の良い推定結果を与えるとは言い切れない。逆に、打ち切り次数とクラスタを最適化することで、0.15Hz以上の周波数成分を含む地震動分布を推定することが可能になることが期待される。
以上を踏まえ、本研究では、地震動分布を推定するために適した打ち切り次数とクラスタを提示するためのスパースモデリングに基づく手法の開発に取り組んでいる。特に本研究では、スパース推定をする際、L1ノルムを正則化項とするlasso(least absolute shrinkage and selection operator)を採用する。微分係数の推定にlassoを適用することで、多数の微分係数から有効な項のみが選択される。さらに、3次元のベクトル量である地震動データを解析する際、異なる成分の同階数の微分係数を同時に選択するためにgroup lassoを実装している。講演においては、本手法によって得られた初期結果について、水迫[2013]による結果と比較しながら報告する。
水迫[2013、卒業論文]では、テイラー展開に基づく手法を考案した。東北地方太平洋沖地震時にMeSO-netで得られた観測データに本手法を適用した結果、約0.15Hz以下の地震動分布を精度良く推定することが可能であることを示した。しかし、一般的な構造物の固有周波数は1.0~10Hzであるため、本手法を実用化するためには、0.15Hz以上の高周波成分を含む地震動分布を精度良く推定する必要がある。水迫[2013]では、恣意的にテイラー展開を一次で打ち切り、近傍の5観測点のデータから、テイラー展開における微分係数を決定したが、このような打ち切り次数と観測点の組み合わせ(以降、クラスタと称する)が、最も精度の良い推定結果を与えるとは言い切れない。逆に、打ち切り次数とクラスタを最適化することで、0.15Hz以上の周波数成分を含む地震動分布を推定することが可能になることが期待される。
以上を踏まえ、本研究では、地震動分布を推定するために適した打ち切り次数とクラスタを提示するためのスパースモデリングに基づく手法の開発に取り組んでいる。特に本研究では、スパース推定をする際、L1ノルムを正則化項とするlasso(least absolute shrinkage and selection operator)を採用する。微分係数の推定にlassoを適用することで、多数の微分係数から有効な項のみが選択される。さらに、3次元のベクトル量である地震動データを解析する際、異なる成分の同階数の微分係数を同時に選択するためにgroup lassoを実装している。講演においては、本手法によって得られた初期結果について、水迫[2013]による結果と比較しながら報告する。