18:15 〜 19:30
★ [MIS01-P01] 日本海における後期鮮新世の海洋構造の変化
キーワード:日本海, 後期鮮新世, 貝形虫, Mg/Ca, 海洋構造
現在の日本海は,北上した対馬暖流が北部で冷やされて沈み込み,酸素に富んだ日本海固有水を生み出している.この沈み込みは約2.5 Ma頃の表層水の冷却と沈降に伴い,はじめて形成されたと考えられている(上栗・本山,2007).しかし,その詳細な時期の特定や水温変化は不明である.また,後期鮮新世の間氷期には,現在より暖かい中層水が存在したことが貝形虫化石群集から指摘されている(Irizuki et al., 2007)が,その具体的な水温には幅がある.そこで本研究では,貝形虫殻のMg/Caを用いて,浅海と中層の水温を定量的に復元し,その差から温度勾配や海洋構造を明らかにすることを目的とした.
試料は新潟県胎内市の胎内川沿いに段丘崖を形成する鍬江層から連続的に採取した.海洋酸素同位体比ステージ(MIS) G19-G13の層準について,中層水種であるKrithe属および浅海種のCytheropteron miurenseとCytheropteron sawanenseを用いて,殻のMg/Caから水温を定量的に復元した.中層および浅海の水温とその変動はMIS G16を境に大きく変化した.中層水温はMIS G19-G16は0-10 ℃と短い周期で大きく変動したのに対し,MIS G15-G13は3-7℃と比較的安定していた.また,浅海水温はG16以前は中層水温より高い値を示したのに対し,G15以降は中層水温と近い水温を示す傾向が認められた.これらのことから,G19-G16は日本海に存在した浅海から中層水域の成層構造が明瞭であったが,G15-G13は鉛直混合が強化され,温度勾配が緩くなり水温変動がより小さくなったことが推察される.MIS 15-G13はそれ以前と比べて間氷期の酸素同位体比が小さいことから,世界的寒冷化に伴い,間氷期に表層水温が低下したことに起因するかもしれない.
試料は新潟県胎内市の胎内川沿いに段丘崖を形成する鍬江層から連続的に採取した.海洋酸素同位体比ステージ(MIS) G19-G13の層準について,中層水種であるKrithe属および浅海種のCytheropteron miurenseとCytheropteron sawanenseを用いて,殻のMg/Caから水温を定量的に復元した.中層および浅海の水温とその変動はMIS G16を境に大きく変化した.中層水温はMIS G19-G16は0-10 ℃と短い周期で大きく変動したのに対し,MIS G15-G13は3-7℃と比較的安定していた.また,浅海水温はG16以前は中層水温より高い値を示したのに対し,G15以降は中層水温と近い水温を示す傾向が認められた.これらのことから,G19-G16は日本海に存在した浅海から中層水域の成層構造が明瞭であったが,G15-G13は鉛直混合が強化され,温度勾配が緩くなり水温変動がより小さくなったことが推察される.MIS 15-G13はそれ以前と比べて間氷期の酸素同位体比が小さいことから,世界的寒冷化に伴い,間氷期に表層水温が低下したことに起因するかもしれない.