日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS21_28PM1] 生物地球化学

2014年4月28日(月) 14:15 〜 16:00 511 (5F)

コンビーナ:*楊 宗興(東京農工大学)、柴田 英昭(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)、大河内 直彦(海洋研究開発機構)、山下 洋平(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、座長:陀安 一郎(京都大学生態学研究センター)、岩田 智也(山梨大学生命環境学部)、和穎 朗太(農業環境技術研究所 物質循環研究領域)、仁科 一哉(国立環境研究所)

15:00 〜 15:15

[MIS21-15] 氷河・氷床の生物地球化学-雪氷微生物による氷河の暗色化と物質循環

*竹内 望1 (1.千葉大学)

キーワード:氷河, グリーンランド, アルベド, 藻類, 微生物, 炭素循環

地球表層の淡水の約8割を保持する氷河や氷床は,近年の全球規模の気温上昇,いわゆる地球温暖化によるその質量の急激な縮小が注目されている.氷河や氷床の表面には,寒冷環境に適応した特殊な生物群集が存在する.雪氷藻類と呼ばれる光合成微生物が夏の融解期に繁殖して有機物を生産,さらにその有機物に依存した従属性のバクテリアや小型動物が氷河表面で活動している.このような雪氷生物由来の有機物が氷河氷床上に堆積すると,もともと白い表面が暗色化する.氷河の暗色化はアルベドの低下によって日射の吸収を増やし,雪氷の融解を促進する効果がある.したがって,氷河や氷床の変動の評価には,単に気候変動に対する物理的な応答だけでなく,氷河を生物群集を含む生態系として認識し,生物地球化学的な炭素や窒素の循環過程を定量的に把握することが重要となる.ここでは,世界各地の氷河,特に微生物活動が比較的活発なアジアの氷河や,近年になって暗色化が進んでいる北極圏グリーンランド氷床などの生態系の特性を比較しながら,氷河の生物地球化学研究の現状と今後の課題を紹介する.