12:00 〜 12:15
[MIS21-P04_PG] 窒素飽和した森林における渓流水中から光化学的に生成するヒドロキシルラジカルの起源
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:ヒドロキシルラジカル, 溶存有機物, 硝酸イオン, 光フェントン反応, 河川, 光化学反応
ヒドロキシルラジカル(OHラジカル)は活性酸素種の中で最も酸化力が高く,OHラジカルとの酸化反応は,生物地球化学的プロセスにおいて重要である。本研究は,1)渓流水中で光化学的に生成するOHラジカルのソースを評価すること,2)窒素飽和した森林から流出する渓流水でのOHラジカルの生成速度の増加を評価するために,窒素飽和した森林において,光化学的生成速度(ROH)を計測した。さらに,渓流水中のフルボ酸を抽出して,溶存有機物(DOM)からのROHの定量評価を行った。その結果,ほとんどすべて(97%;81-109%)のROHのソースを定量的に明らかにでき,NO3-:55%, 34-75%, N(III): 2%, 0.5-5.2%であり,DOM由来の生成は光フェントン(18%;12-26%)とFDOMの直接的な光分解(22%, 10-40%)を分離することに成功した。FDOMはDOMの炭素ベースで53%(24-96%)を占めており,OHラジカル生成に重要な成分であった。窒素飽和した森林で生じた高濃度のNO3-の流出はROHを上昇させていた。このことは,窒素飽和した森林は下流域の河川中においてOHラジカルの生成や消失を通じて,光化学や生物地球化学的な物質循環を変化させる可能性を示している。