日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS21_28AM2] 生物地球化学

2014年4月28日(月) 11:00 〜 12:45 511 (5F)

コンビーナ:*楊 宗興(東京農工大学)、柴田 英昭(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)、大河内 直彦(海洋研究開発機構)、山下 洋平(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、座長:高野 淑識(海洋研究開発機構)、長尾 誠也(金沢大学環日本海域環境研究センター)、陀安 一郎(京都大学生態学研究センター)、岩田 智也(山梨大学生命環境学部)

12:00 〜 12:15

[MIS21-P04_PG] 窒素飽和した森林における渓流水中から光化学的に生成するヒドロキシルラジカルの起源

ポスター講演3分口頭発表枠

*智和 正明1東 直子1大槻 恭一1兒玉 宏樹2宮島 徹2竹田 一彦3佐久川 弘3 (1.九州大学演習林、2.佐賀大学大学院工学系研究科、3.広島大学大学院生物圏科学研究科)

キーワード:ヒドロキシルラジカル, 溶存有機物, 硝酸イオン, 光フェントン反応, 河川, 光化学反応

ヒドロキシルラジカル(OHラジカル)は活性酸素種の中で最も酸化力が高く,OHラジカルとの酸化反応は,生物地球化学的プロセスにおいて重要である。本研究は,1)渓流水中で光化学的に生成するOHラジカルのソースを評価すること,2)窒素飽和した森林から流出する渓流水でのOHラジカルの生成速度の増加を評価するために,窒素飽和した森林において,光化学的生成速度(ROH)を計測した。さらに,渓流水中のフルボ酸を抽出して,溶存有機物(DOM)からのROHの定量評価を行った。その結果,ほとんどすべて(97%;81-109%)のROHのソースを定量的に明らかにでき,NO3-:55%, 34-75%, N(III): 2%, 0.5-5.2%であり,DOM由来の生成は光フェントン(18%;12-26%)とFDOMの直接的な光分解(22%, 10-40%)を分離することに成功した。FDOMはDOMの炭素ベースで53%(24-96%)を占めており,OHラジカル生成に重要な成分であった。窒素飽和した森林で生じた高濃度のNO3-の流出はROHを上昇させていた。このことは,窒素飽和した森林は下流域の河川中においてOHラジカルの生成や消失を通じて,光化学や生物地球化学的な物質循環を変化させる可能性を示している。