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[MIS21-P16] 不耕紀栽培が熱帯サトウキビ畑の物理性の回復に及ぼす影響
キーワード:不耕紀栽培, サトウキビ, 浸透, 炭素
インドネシア・スマトラ島のサトウキビ畑では伝統的な耕起栽培が行われており,近年では明確な理由はわからないものの,土地がやせ収穫量の減少が見られる.ここでは不耕起栽培を行い,土壌物理性の回復を目指したフィールド実験の結果を報告する.30m×100mの畑を20枚用意し,A:耕起・バガスマルチ,B:耕起,C:不耕起,D:不耕起・バガスマルチの4処理管理を5反復行い,土壌環境に与える影響を調査した.不耕起栽培と耕起栽培では表層の透水性はあまり変わらないか,不耕紀栽培の方が僅かに透水性が悪いと言う結果が得られた.しかし,オーガー透水試験を行うと30cm以下の深いところの透水性は明らかに不耕起栽培の方が良い結果が得られ,不耕紀栽培の影響は根群域下で顕著に現れることがわかった.また,土壌有機物は深さ30cmの所では不耕起栽培の方が多い結果となった.慣行栽培では重機の侵入があり,これが土壌構造を深部まで破壊すること,逆に不耕紀栽培では土壌構造が保存されると考えると上の透水性の結果を合理的に解釈できる.サトウキビは根が浅く,深さ2-30cm以下では新鮮な根が観察されないことから,土壌深部では植物による有機物の利用がないと仮定すると,下方浸透によって下方に運ばれた有機物が蓄積しやすい傾向にあるという解釈が可能であった.