日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS22_29PO1] ガスハイドレートと地球環境・資源科学

2014年4月29日(火) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*戸丸 仁(千葉大学理学部地球科学科)、八久保 晶弘(北見工業大学環境・エネルギー研究推進センター)、森田 澄人(独立行政法人 産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門)

18:15 〜 19:30

[MIS22-P05] 琉球弧南西部黒島海丘周辺海域でのメタン噴出とハイドレート存在の可能性

*松本 剛1青木 多恵2 (1.琉球大学理学部、2.株式会社ウェザーニューズ)

キーワード:メタンハイドレート, 黒島海丘

1996年、黒島海丘頂部でシロウリガイ死貝が発見され、さらに2001年までの一連の調査航海によって、海底下においてメタンハイドレートの存在が示唆されるようになった。本研究では海洋研究開発機構が2002年以降に行った黒島海丘の海底観察ビデオから得られた情報から黒島海丘頂部平坦面の底質マッピングを行い、当海域におけるメタン噴出域を推定し、黒島海丘頂部平坦面の直下でメタンハイドレートが年間を通じて安定して存在するか否かを検証した。さらに琉球弧の他の海域で、メタンハイドレートが安定的に存在するか否かの検証を行った。
 方法としては、2002年以降に同機構によって行われた調査航海によって得られた海底映像からルートマップを作成することで、当海域におけるメタン湧出域を推定した。次に水温鉛直分布と海底地形、海洋におけるメタンハイドレート安定領域を参照し、黒島海丘と琉球弧におけるメタンハイドレートが存在する可能性がある海域を検証した。2002年以降の黒島海丘におけるメタンハイドレートの分布域をマッピングから、石灰質砂岩やシロウリガイ死貝が頂部平坦面全体に広がっていた。24°07′48″E 124°11′33″N付近では、シロウリガイ死貝や生きているシンカイヒバリガイが海底一面に広がり、バブルも約35ヶ所湧出していたことが確認された。また、メタンが湧出している可能性がある面積は約4万m2と推定できた。
 マッピングの結果を踏まえ、黒島海丘の海底下でメタンハイドレートが安定的に存在するか否か、メタンハイドレートが生成できるための温度・圧力条件から検証を行ったところ、黒島海丘頂部平坦面ではメタンハイドレートが安定的に存在する可能性は極めて低いと推定できた。さらに、琉球弧の前弧域の他の海域において、メタンハイドレートが安定して存在するか否かの検証を行ったところ、水深700m以深でメタンハイドレートの安定領域に入る結果となった。