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[MIS23-04] 高田松原における2011年(平成23年)東北地方太平洋沖地震による洗掘と堆積
キーワード:津波堆積物, 陸前高田市, 射流, 跳水, 高田松原, 防潮堤
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による津波は,岩手県陸前高田市の高田松原公園の海側に設置されていた防潮堤の背後(陸側部分)を大規模に侵食し,津波前に陸だった地域が海域となった.この侵食は,津波が防潮堤を乗り越える際に射流となり地表面を局所的に洗掘したことによるものである.この洗掘により形成された海域では,その後,仮防潮堤の設置によりすぐに広田湾からの波浪作用から隔離され津波堆積物および津波後の波浪による堆積物がよく保存されていると考えられる.そこで,本研究では,これらの堆積物の性状を把握するために試料を採取し,詳細な堆積学的解析を行った.すなわち,このような洗掘地形の内部における津波堆積物の特徴を解明することを目的とした. 堆積相解析,粒径垂直変動解析と磁気ファブリック解析を用いて,これらの地層を検討した結果,以下のことがわかった.1. 津波堆積物から読み取った粒径垂直変動は,複数回の逆級化・級化ユニットを認定することができた.2. 磁気ファブリックは,津波堆積物が主に戻り流れによる堆積物であることを示した.3. 岩手県陸前高田市の本調査地域における津波は,防潮堤を乗り越える際に射流となって松原を侵食した.堤防は第1波目の津波で崩壊したため,引き続く10数回の津波の影響を受け,洗掘された海域にはほとんどが戻り流れによる津波堆積物が形成された.