日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23_2PM1] 津波堆積物

2014年5月2日(金) 14:15 〜 16:00 415 (4F)

コンビーナ:*後藤 和久(東北大学災害科学国際研究所)、宍倉 正展(産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター)、西村 裕一(北海道大学大学院理学研究院)、座長:宍倉 正展(産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター)

14:45 〜 15:00

[MIS23-17] 静岡県静岡平野における砂粒子形態の定量解析に基づくウォッシュオーバー堆積物の認定

*北村 晃寿1小倉 一輝1生形 貴男1 (1.静岡大学)

キーワード:ウォッシュオーバー堆積物, 堆積物粒子, 形態解析

東北地方太平洋沖地震を契機に,南海トラフ沿岸各地の低地で,津波堆積物の調査が活発化している.静岡平野南東部の大谷低地でも,Kitamura et al. (2013)が,鬼界アカホヤ火山灰層より上位の後背湿地の粘土層から,3層の推定津波堆積物(砂層)を認定している.Kitamura et al. (2013)は,認定の根拠の一つに,推定津波堆積物の主体をなす「泥岩片の砂粒子」と海浜砂(海浜では,粒子は波浪に曝されるので,「泥岩片の砂粒子」の円磨度は高くなる)の形態の類似性を挙げている.しかし,Kitamura et al. (2013)の形態解析は,粒子の任意断面の輪郭を円磨度印象図で評価するという半定量的なものだった.そこで,本研究では,堆積物粒子の非破壊3次元定量的形態解析の手法を開発・実装した.堆積物表面の形状を共焦点レーザー顕微鏡で測定し,スキャンした表面形状のサーフェスモデルから粒子のソリッドモデルを構築し,そのモデルを構成する各点の座標の主成分分析によって,粒子の長軸,中軸,短軸の方向とそれらの軸比を求めた.各ソリッドモデルの重心の位置と長軸の方向と堆積が全ての粒子で同じになるように座標データを基準化し,z座標をx, y座標の関数として,これを2次元フーリエ変換によって周波数領域に分解した.周波数毎にフーリエ係数の振幅を求め,1次以降のフーリエ振幅の総和を0次の係数の値で割ったものを粒子の角張度として求めた.その結果,海浜砂と推定洪水堆積物の間で,粒子の短軸/長軸比に明瞭な違いが見られた.ほとんどの推定洪水堆積物は,ほとんどの海浜砂よりも細長い形状をしていた.また,推定洪水堆積物は,様々な値の角張度の粒子を含んでいたのに対して,海浜砂は総じて角張度の値が小さかった.推定津波堆積物には,海浜砂の特徴を持つ丸い粒子と推定洪水堆積物と同様の細長くて角張った粒子の両方が含まれいた.