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[MIS23-20] 若狭湾沿い海岸低地における津波堆積物調査(予報)
キーワード:若狭湾, 海岸平野, 津波堆積物, 完新統
2013年度から始まった文科省委託研究「日本海地震・津波調査プロジェクト」の一環として,福井県の高浜町から美浜町にかけての若狭湾沿岸地域において,津波堆積物調査を行った.若狭湾周辺地域では,ルイス・フロイスの書簡,兼見卿記など史料により,1586年の天正地震時に津波が襲来した可能性が示されている.一方,関西電力等は三方五湖や久々子湖東方陸域,また敦賀半島先端の猪ヶ池等において津波堆積物調査を実施し,古文書に記載されているような大規模な津波を示唆する津波堆積物は天正地震頃の堆積層中には見いだされなかったこと,また猪ヶ池ではBC5300~5600頃の津波の可能性のある砂質なイベント堆積層が認められたものの,三方五湖周辺および久々子湖東方陸域ではこの時期の津波を示唆する痕跡は認められず,大規模な津波ではなかったと報告している(関西電力,2012など).そこで今回,福井県高浜町から美浜町にかけての若狭湾岸の海岸低地において,津波堆積物調査を行った.高浜町園部付近では海岸沿いに浜堤が形成されており,その背後は水田となっているが,かつては湿地帯で鴨場として利用されていたという.この地区における予察的な調査では,下位の細かな貝殻片を含む分級の良い粗粒砂からなる海浜堆積物から,内湾的な環境で堆積したと推定される泥層となり,約3000年前以降は泥層や泥炭層が堆積する湖沼の環境へと移り変わっていることが明らかとなっている.また美浜町坂尻は潟湖を埋め立てた地点である.これらの若狭湾岸沿いの海岸低地において,長さ5mのジオスライサー等を用いて柱状試料を採取し,イベント堆積物の抽出を行った.