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[MIS24-01] 相対湿度0.1%の差を測る!ArduinoとSHT75による高精度観測
キーワード:相対湿度, 気温差, 計測, Arduino, 森と街, 潜熱
一般に森の中は街と比べて涼しいと言われている。その気温差を生じている要因は何であるかということを調べるために、京都大学とその隣の吉田山にて気温と相対湿度の観測を行ない、気温差と大気中の水蒸気量の差を比較した。 今回この観測の中でSensirion社のSHT75という温湿度センサーを用いた。このセンサーはカタログ値で相対湿度について分解能0.03%、精度±1.8%、再現性0.1%という非常に高い精度をもっている。実際に使用しキャリブレーションを行った所、測定機器同士の差が気温について±0.05℃、相対湿度について±0.1%の間に収めることができる可能性があるということが分かった。今回の観測における大気中の水蒸気量の差を考える際には、大気中の水蒸気0.1g程度の差を見る必要があることから、相対湿度の誤差は最低±1%程度に収められることが望ましい。この街と森の気温差と水蒸気量差の関係の議論についても、この精度で観測を行うことが出来なかったため今まで有効な観測結果を出せていなかった。このセンサーをArduinoを用いて作ったデータロガーに接続し、1分毎に記録するという形で観測を行った。 結果として吉田山と京都大学では常に吉田山の気温が低く、大気中の水蒸気量も多いということが分かった。この差は一日を平均してみると、夏の観測においては水の蒸発潜熱により大気が冷やされているというように見ることができた。しかし、冬においても夏の半分ほどの差ではあるが、常に吉田山の気温が低く水蒸気量が多いということが観測された。また、時間変化を加えてみると夏・冬ともに日の出とともに気温差がつき、次に昼までに水蒸気量の差が開き、その後日が傾くに連れて気温差が縮まり、夜の間に水蒸気量の差も縮まるというサイクルを見ることが出来た。すなわち、これは水の蒸発潜熱によって気温差がつく以外の要素が働いていることを示している。