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[MIS26-10] 地磁気-地電流(MT) 連続観測と可視映像連続観測による桜島火山雷の性質
火山活動に伴う地下電気比抵抗時間変化を捉えるため地磁気-地電流 (MT) 連続観測を、火山爆発の多様性を解明するため高感度カメラによる可視映像連続観測(30fps)をそれぞれ行っている。観測点は活発な噴火活動を続ける昭和火口からおよそ3km離れた地点にあり(Fig. 1)、両者のデータともGPS時計に同期した正確な時刻情報が付加されている。得られたMT連続観測の時系列中には噴火からおよそ3分以内に集中して火山雷によるパルス状のシグナルが見られることが報告されているが(Aizawa et al., 2010)、当時のサンプリングレートは15Hzであったため、火山雷の電流値、継続時間等を明らかにすることはできなかった。また、噴火活動は現在に比べて活発ではなく対象イベントも数10にとどまり、火山雷の極性分布や、発生頻度等の一般的な情報を得ることはできなかった。本発表ではまず、2013年10/27~11/6に行った65kHz 臨時MT観測と、その結果を噴火映像と比較した結果を報告する。臨時MT観測では60000Hzまで周波数特性が明らかなインダクションコイル(Metronix MFS07)と ロガー(ADU-07)を2観測点に設置し、それぞれ電場磁場5成分の時系列を取得した。FFT、逆FFTによりコイルの周波数特性を組み込み、物理量(mv/km, nT)の時系列を得たが、得られた時系列には軍事用途の人工ノイズが多く含まれていたため、ノッチフィルタを適用し、火山雷によるシグナルを抽出した。その結果、継続時間が短い(数10μs)パルスが数msの間に、複数解繰り返すタイプの放電と、 複雑な波形が長く(数ms)続く放電の2種類があることが明らかになった。可視映像との比較からそれぞれ対地放電(CG)と雲内放電(IC)に相当する可能性が高い。またICの継続時間は長いもののピーク電流量はCGに比べて1/10以下と少ない。このような桜島火山雷の特徴は気象雷と多くの点で共通と思われるが、その放電量や時間スケールは気象雷の1/10~1/100程度である。実験室で再現された火山雷の時間スケールはさらに短く(Cimarelli et al., 2014) 放電時間と放電量の間のスケーリング測を示唆する。桜島火山のパルスが複数回継続するタイプの放電では、第1雷撃より、第2、第3雷撃のほうが電流量が大きい例が見られ、これは火山雷に特有の性質かもしれない。 本発表では、上記の65kHz臨時MT観測のデータを精査しつつ、さらに2011年12月から現在までの2年間以上に渡って継続している32HzサンプリングによるMT連続観測のデータを解析し、火山雷の極性や頻度等についての一般的な性質、さらに噴火タイプとの関連を報告する予定である。ReferencesAizawa, K., A. Yokoo, W. Kanda, Y. Ogawa, and M. Iguchi (2010), Magnetotelluric pulses generated by volcanic lightning at Sakurajima volcano, Japan, Geophysical Research Letters, 37, L17301, doi:10.1029/2010GL044208.Cimarelli, C., M.A. Alatorre-Ibarguengoitia, U. Kueppers, B. Scheu, and D.B. Dingwell (2014), Experimental generation of volcanic lightning, geology, doi: 10,1130/G34802.1.