日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS28_1AM2] 日本における巨大地磁気誘導電流

2014年5月1日(木) 11:00 〜 12:45 313 (3F)

コンビーナ:*藤田 茂(気象庁気象大学校)、片岡 龍峰(国立極地研究所)、藤井 郁子(気象庁地磁気観測所)、亘 慎一(情報通信研究機構)、座長:亘 慎一(情報通信研究機構)、片岡 龍峰(国立極地研究所)

11:00 〜 11:15

[MIS28-08] キャリントンストームはなぜ急速に回復したのか?

*桂華 邦裕1海老原 祐輔2片岡 龍峰3 (1.名古屋大学太陽地球環境研究所、2.京都大学生存圏研究所、3.国立極地研究所)

キーワード:キャリントンイベント, 巨大地磁気誘導電流, 環状電流, 磁気圏界面電流, 惑星感空間衝撃波, コロナ質量放出

1859年9月2日に発生したキャリントン磁気嵐は、その規模と発達率はそれぞれ1時間平均値換算で約850 nT、約400 nT/hと極めて大きい。巨大地磁場変動は磁気嵐主相だけにとどまらず回復相にも見られ、回復率はインドのボンベイで1000 nT/h 以上、1時間平均値でも300 nT/h以上に達した。20世紀および21世紀初頭に観測された巨大磁気嵐も、他の平均的な磁気嵐に比べ回復率が大きい。磁気嵐の発達は、太陽風速度や密度、惑星間磁場の大きさや向きに大きく依存する一方で、磁気嵐の回復は地球内部磁気圏での物理プロセス、特にプラズマ圧を減少させるプロセスが重要な役割を担う。これまで提唱されているプロセスとしては、(1) 電荷交換反応による酸素イオンの中性化、(2) イオンの磁気圏外への流出、(3) EMIC波動との相互作用に伴うピッチ角散乱による大気への降り込み、などが提唱されている。また、(4)もし磁気嵐のピーク時周辺で太陽風動圧が急激に増加すれば、磁気圏界面電流の増強により磁気嵐の回復がより速くなると考えられてる。本講演では、太陽風データが入手可能な巨大磁気嵐(Dst minimum < -200 nT)の回復相に着目し、太陽風パラメータとDst指数との相関を示すBurton経験則を修正することで、太陽風密度変動に関連するイオン流出過程で速い回復を説明できるかどうか調査する。また、電荷交換反応のみで再現するために必要な酸素イオン量、波動粒子相互作用のみで説明するために必要なEMIC波動活動領域の広さ、磁気圏界面電流の急増のみで説明するために必要な太陽風動圧変化、をそれぞれ見積もる。その上で、キャリントンイベントのような超巨大磁気嵐の回復相では磁気圏内で何が発生し得るか、どの程度大きな磁気嵐回復率、すなわち地上磁場時間変動を作り出すことができるか議論する。