日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS30_28PO1] 古気候・古海洋変動

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*山田 和芳(早稲田大学人間科学学術院)、池原 実(高知大学海洋コア総合研究センター)、入野 智久(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、北場 育子(神戸大学内海域環境教育研究センター)、北村 晃寿(静岡大学理学部地球科学教室)、佐野 雅規(総合地球環境学研究所)、多田 隆治(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、吉森 正和(東京大学大気海洋研究所)

18:15 〜 19:30

[MIS30-P20] 氷河湖堆積物に記録されるペルー南部における完新世の環境変化

*山田 和芳1篠塚 良嗣2瀬戸 浩二3原口 強4米延 仁志5 (1.早稲田大学、2.北海道大学、3.島根大学、4.大阪市立大学、5.鳴門教育大学)

キーワード:ペルー, ヤウリウイリ湖, 気候変動, ナスカ文化

本研究では、ナスカより東へ130km離れたプキオ市東方の氷河湖であるヤウリウイリ湖(Laguna Yauriuiri)にておこなった音波探査調査およびコアリング調査で採取したコアの各種分析から、完新世における気候変動を明らかにし、その変動要因について考察した。
ヤウリウイリ湖は、標高4,384 mの地点にあり。イグニンブライトで構成される基盤岩が露出するU字谷と前面に残るモレーンに囲まれた面積4 km2の小さな湖沼である。ここで、水底下の地下構造を簡便に把握することができる音波探査装置(Synquest社製:StrataBox)を用いて、水域全体の地下地質を観察した。その結果、氷河浸食された基盤岩の上に、主に水域南部にてモレーンの礫層が堆積し、それにパックされた水域にて最大層厚約10 mの粘土層を確認できた。また、反射面の検討から、粘土層中には少なくとも6枚の砂もしくは火山灰薄層が確認できた。
地層の側方連続性も良好であることを確かめた上で、水深50mの地点から、携帯型ピストンコアラーによって、深度50および170 cmのコア(PY11-1および-2)を2本採取した。採取したコアの岩相は、塊状暗灰色粘土で主に構成され、一部、未分解の有機物濃集層や、洪水と考えられる褐色シルト薄層が認められた。コア中に含まれた植物遺骸を用いた放射性炭素年代測定結果から、PY11-2コアは過去11,000年から現在までの堆積物であることが明らかになった。物性分析および元素分析結果に基づいて完新世における気候変動を復元した結果は、以下のようにまとめられる。
1.約7000年前に急激な湖水位の低下が生じた.これは,Holocene Optimum期に相当する寒冷気候から温暖気候に転じた結果を反映している.
2.約4000年前に突然生じた気候湿潤化は,その後大きく3回の乾燥-湿潤期をくりかえしていた。また、全体的な傾向として、約1200年前頃まで続く長期的な乾燥化を示されている。
3.ヤウリウイリ湖で復元されたペルー南部の環境変動は、4,000年前以前では、アルティプラーノ地域から復元された気候変化と概ね同調しているが、4,000年前以降では、同調性は見えなくなる。むしろ、海岸地帯における気候変化と同調する傾向がみられる。この原因は、ENSO変動やITCZの軸移動にその原因を求める事ができる.