日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS31_2AM1] 分野横断的連携による総合的な地球温暖化研究に向けて

2014年5月2日(金) 09:00 〜 10:45 511 (5F)

コンビーナ:*立入 郁(海洋研究開発機構)、河宮 未知生(海洋研究開発機構)、筒井 純一(電力中央研究所)、座長:河宮 未知生(海洋研究開発機構)

09:00 〜 09:15

[MIS31-01] 2100年以降ゼロエミッションによるRCP2.6/4.5の延長: MIROC-ESMについての2℃/3℃安定化シナリオとして

*立入 郁1羽島 知洋1河宮 未知生1 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:代表的濃度経路, ゼロエミッション, 安定化, 地球システムモデル

MIROC-ESM(大気化学なし)について、RCP(Representative Concentration Pathways、代表的濃度経路)2.6/4.5濃度シナリオを入力した場合に2100年時点での産業革命以前からの気温上昇がそれぞれ約2℃、3℃になることに着目し、それ以降をゼロエミッションとした場合の気候変化を調べた。MIROC-ESMは、相対的に悲観的な(気候感度が高く、生態系の炭素吸収量も小さい)モデルであり、このモデルで気候が安定化することは他のESM(地球システムモデル)でも気候が安定化する可能性が高い。以下、RCP2.6を延長したものを2℃安定化シナリオ、RCP4.5を延長したものを3℃安定化シナリオと呼ぶ。なお、土地利用やCO2以外のフォーシングについては2100年以降固定している。 実験は2300年までを予定しており、現在2200年を超えたところである。まず、2℃安定化シナリオは、2100年時点で産業革命以前からの全球平均気温上昇が2℃を少し超えているが、その後ゼロエミッションとすることで徐々に下がり、2200年時点では20年平均で2℃を少し下回っている。CO2濃度については、2100年時点で421 ppmだったのが徐々に下がり、2200年時点では約400 ppmであった。一方、3℃安定化シナリオは、2100年時点で3℃を少し上回っているが(20年平均)、徐々に下がって2200年時点では約2.8℃となっている。CO2濃度は、2100年時点で約540 ppmであり、2200年時点では500 ppmをわずかに下回っている。 ゼロエミッション化後の気温・降水量変化(2200年と2100年の20年平均の差)の空間分布をみると、2℃安定化シナリオでは気温が南極とその周辺やシベリア、グリーンランドで上昇し、アマゾンや北半球の陸地で下降している一方、3℃安定化シナリオでも傾向は似ていたが、南極・南極海の上昇度合いはやや小さく、グリーンランドでは上昇していなかった。シベリアではやや上昇する一方、北極海で顕著な温度低下がみられた。降水量については、2℃安定化シナリオでは西太平洋で減少しており、東太平洋の一部やインド洋周辺で増加していた。3℃安定化シナリオでは、太平洋南部にやや増加している地域が見られた。