日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS32_30AM2] 地球掘削科学

2014年4月30日(水) 11:00 〜 12:45 416 (4F)

コンビーナ:*斎藤 実篤(独立行政法人海洋研究開発機構)、池原 研(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、廣野 哲朗(大阪大学 大学院 理学研究科 宇宙地球科学専攻)、梅津 慶太(独立行政法人海洋研究開発機構)、座長:梅津 慶太(独立行政法人海洋研究開発機構)、横山 祐典(東京大学 大気海洋研究所 海洋底科学部門/地球表層圏変動研究センター)

12:30 〜 12:45

[MIS32-14] ニュージーランド,アルパイン断層掘削計画 (DFDP)の概要

*重松 紀生1Sutherland Rupert2Tonwend John3Toy Virgnia4 (1.産業技術総合研究所活断層・地震研究センター、2.GNS Science New Zealand、3.ビクトリア大学ウェリントン、4.オタゴ大学)

キーワード:断層帯掘削, アルパイン断層, 地震発生過程, 脆性-塑性変形過程

アルパイン断層は長さ 460 km 以上,平均年間変位速度 25 mm/年に及ぶ活動的な断層であり,平均活動間隔や最新活動時期を考慮すると地震後経過率は高い.最新活動は 1717 年であり,平均330年間隔で M8以上の地震の 50年発生確率は 30 % 程度とされている (Berryman et al., 2013).アルパイン断層掘削計画 (DFDP) の目的は,地震発生過程と大陸地殻における造山作用の理解のために,アルパイン断層の深部における物質の採取,深部における条件の測定,そして深部の動きを観測することである.このプロジェクトにおいては2011年にパイロット掘削 (DFDP-1) が行われている.DFDP-1においては,2つの孔を掘削し,検層と観測装置の設置が行われている.初期成果として次のことが明らかになった.断層中軸部とダメージゾーンの境界に沿って透水性の小さい変質帯が形成.変質帯は,断層の物理的性質に影響を与え,地震発生サイクルのなかで変化している可能性がある.掘削深度 128 m における断層をまたぎ,0.53 MPa の流体圧の差が見られ,この差はより深い部分ではより大きくなる可能性がある.地温勾配は 63±2℃/kmである.主滑り面を挟んだ断層物質の物理的性質は非対象であり,北西方向に向かって破壊が進展したことを示唆する.現在,次期計画である DFDP-2 が 2014年に掘削を開始する予定である.目標掘削全深度は 1.3 km であり,場合により 1.5 km まで掘る可能性もある.この計画により,上部から中部地殻の脆性的な変形過程,延性的な変形過程を通じ断層帯がどのように形成してきたのかが明らかにされることが期待される.