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[MIS33-01] 東北地方太平洋沖地震前後の 宮城県沖水深2000m以浅における海底の比較
キーワード:ゾンネ, 津波堆積物, 生物片, 古流向
2011年3月11日の日本時間14:46に、東北地方太平洋沖でMw9.0の地震が発生した。Arai et al.(2013)によると、この地震による津波に伴い混濁流が発生したとされている。この混濁流について、今後どのように地層として保存されるか良く分かっていない。そこで本研究では、海底面を観察することで、地震に伴う混濁流が海底面にどう影響したかを調べた。また、それに基づき混濁流が発生したという事実が今後どのように地層に保存されるかを考察した。 研究に用いたビデオ映像は、R/V NATSUSHIMAによる3K#483(2000年9月5日実施)、同じ船による2K#1220(2000年9月19日実施)、R/V YOKOSUKAによるYKDT#100(2011年6月21日実施)、傭船によるHAKUYO3000(2011年9月25日実施)、R/V SONNEによるSO219A OFOS(2012年3月8日~4月5日実施)とで、撮影された物を使用した。また、海底断面図はSO219A航海時にパラサウンドによって得られたものを使用した。 ビデオ映像から、震災前後で海底は大きく変化したことが確認出来た。震災10年前はヒトデやタコといった多くの生物がおり、また海底には生物の巣穴が多数存在し、低層流の強い流れは確認できなかった。震災の数ヶ月後の海底は、YKDT#100、HAKUYO 3000の映像から、生物の死骸が多数していた。また、その死骸の上やその付近には、直径1m程の大きなバクテリアマットが広がっていた。震災の1年後の海底は、OFOS-1,2の映像から、バクテリアマットが直径10cm程に小さくなっていた。このことから、地震後海底擾乱が起こった際、バクテリアマットは一時的にはできるが、地層に保存されることはなく、混濁流の証拠とならないと言える。 一方、地層記録として保存されうる混濁流の証拠も見つかった。YKDT#100、OFOS-2の映像から海底面上に多数の生物片が散らばっていた。これらの方向を測ると、大部分が南西‐北東方向を向いており、これらはごく最近の強い流れ、すなわち津波混濁流によって形成されたものである。また、その方向は、Arai et al.(2013)を支持する結果であった。これらは震災直後、1年後どちらにも確認されたことから、混濁流の証拠として地層に保存されるのではないかと考えている。