日本地球惑星科学連合2014年大会

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ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS33_30PO1] 巨大地震・津波のポテンシャルを現場から事前に評価できるのか?

2014年4月30日(水) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*伊藤 喜宏(京都大学防災研究所)、川村 喜一郎(山口大学大学院理工学研究科)、辻 健(九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所)

18:15 〜 19:30

[MIS33-P01] 東北地方太平洋沖地震発生後の宮城県沖水深2000m~3500mの海底地形と地質構造

濱田 毬1、*川村 喜一郎1中村 恭之2小平 秀一2 (1.山口大学、2.海洋研究開発機構)

キーワード:日本海溝, 地震探査, 前弧海盆, 不整合, 東北地方太平洋沖地震

はじめに
2011年東北地方太平洋沖地震発生後,津波波源域を含む日本海溝の宮城県沖~岩手県沖の広範囲において16測線の地震探査が実施された.しかし,3000 m以浅のDeep Sea Terraceに発達する前弧海盆の解析は,未だ手がつけられていない.そこで本研究では,東北地方太平洋沖地震後の宮城県沖の海底地形と地質構造を調べることを目的とし,未公表の15測線も含めた16測線を解析した.

研究地域概要
日本海溝の前弧海盆域には,白亜紀の基盤上に漸新世の不整合があり,その上部に古第三紀~新第三紀の厚い堆積物(前弧海盆)がある.南北変化が激しく,その比較は容易でない.

結果
16測線の観察により,地形,活構造,厚層化等の共通する特徴が認められ,それらはArea1~5の領域に分布する.
Area1:漸新世の不整合の上に厚層化した堆積ユニットがあり,西端を褶曲,東端を断層または褶曲で区切られる.この特徴は,南北100kmで見られる.
Area2:両端の特徴は,Area1と類似するが,南北の連続性は50kmと短く,また,やや海側に配列する.
Area3:Area2の北延長部であるが,明瞭な厚層化は認められない.
Area4:陸側に傾動した厚い新第三系の堆積ユニットがあり,その堆積域が海側から陸側へシフトしている.
Area5: 両端の特徴は,Area1と類似するが,表面にまで及ぶ断層(活断層)がある.2011年の震源付近であり,最近の変動域と考えられる.

まとめ
これらの特徴は,長期的な日本海溝の形成プロセスを論じる上で重要な知見であり,今後,さらに検討を進める必要がある.