日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS35_2AM2] ジオパーク

2014年5月2日(金) 11:00 〜 12:45 211 (2F)

コンビーナ:*目代 邦康(自然保護助成基金)、有馬 貴之(首都大学東京都市環境科学研究科)、大野 希一(島原半島ジオパーク推進連絡協議会)、平松 良浩(金沢大学理工研究域自然システム学系)、尾方 隆幸(琉球大学教育学部)、渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、座長:有馬 貴之(首都大学東京都市環境科学研究科)、目代 邦康(自然保護助成基金)

12:15 〜 12:30

[MIS35-06] 地質図をモチーフにした布製品の開発ージオパークや博物館から地質の話を持ち帰るために

*斎藤 眞1 (1.産総研地質調査総合センター)

キーワード:布製品, 地質図, ジオパーク, 自然史博物館, GIS, 地理情報システム

2013年9月,20万分の1日本シームレス地質図をモチーフにした布製品が発売された.この製品は,20万分の1日本シームレス地質図のデジタルデータを用いて,凡例ごとにGISソフト上で色の変更を行って布に印刷し,それを元に製品を製造したものである.地質図をそのまま製品に使うのではなく,1)地質図を「地球のデザイン」として利用して優れた商品を作る,2)博物館やジオパークから地質の話を持ち帰ることのできるものにする,というコンセプトで,地質の研究者とデザイナー・GIS技術者が協力して作成した. 斎藤は以前に化石チョコレートを企業と製品化したことがあった(利光ほか, 2009).その際,開発に携わったデザイナーから地質図はカラフルで,自然の作り出したデザインであるという感想を聞き,当時,プロトタイプとして作成していた布製品の開発を進め,成果を2010年?2011年にかけて地質ニュースに連載した(斎藤, 2010など).それをもとに,2013年に東京カートグラフィック株式会社が商品化した.化石チョコレートは,本物のレプリカとして観察に耐えうるいわば「本物」として製作し,博物館やジオパークから地質や化石の話を持ち帰ってほしいというコンセプトで製作した.また,ジオパークでは本物の化石の「消費」は不可能なので,地質や化石の話を持ち帰るための適切な商品になると考えた.今回の布製品でも,地質の話を持ち帰ってほしいというコンセプトは共通であるが,より学術(お勉強)から離れたゾーンをねらっている.今回作成した布製品は,日光地域を中心とした地域の「20万分の1日本シームレス地質図」を元に作成された.製品はハンカチ,ポーチ,ミニトートバッグの3種で,それぞれ紫系,緑系,ピンク系があり,地質図を印刷した生地からの切り抜く場所によって,ポーチは10地域,ミニトートバッグは3地域の種類があり,色も考慮すると,ハンカチ3種,ポーチ30種,ミニトートバッグ9種と多数のデザインの製品を作ることができた.20万分の1日本シームレス地質図は全国一律の凡例で作られたデジタル地質図のため,任意の地域の地質図を切り出して使うことができるため,地域ごとに違うものが作成できる.このため各ジオパークで作成すれば,その地域でしか手に入らない,ジオパークの話を持ち帰ることのできる製品ができることを示している.この様な製品を作成することを考えた時に,地質図をTシャツなどにそのままプリントすることは,現在では比較的容易である.しかし,それでは商品として魅力のあるものを作るのは難しい.企画担当者,デザイナー,GIS技術者,地質の専門家などが組んで,商品として魅力あるもの作ることによって,手に入れたくなる人が増え,商品に乗った地質図が「地質図はこんな感じ」という柔らかいニュアンスで,一般の人の身近なところに届けられる.今後,地域を変えて作成する計画をすすめており,期待して頂きたい.