日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS35_2PM1] ジオパーク

2014年5月2日(金) 14:15 〜 16:00 211 (2F)

コンビーナ:*目代 邦康(自然保護助成基金)、有馬 貴之(首都大学東京都市環境科学研究科)、大野 希一(島原半島ジオパーク推進連絡協議会)、平松 良浩(金沢大学理工研究域自然システム学系)、尾方 隆幸(琉球大学教育学部)、渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、座長:尾方 隆幸(琉球大学教育学部)

15:15 〜 15:30

[MIS35-12] 自然状態が回復しつつある鳥取砂丘海岸

*小玉 芳敬1 (1.鳥取大学 地域学部)

キーワード:鳥取砂丘, 砂丘の草原化, 沿岸砂州, 海浜堆積物の粒度組成, 砂利採取, 半世紀にわたる変遷

はじめに鳥取砂丘が1980年代から抱える課題に「草原化」と「海岸侵食」があり,それぞれ除草やサンドリサイクルなどの対策がとられてきた。本発表では,砂丘の後背地にあたる千代川流域に注目し,流砂系の観点から両課題の原因を探った結果を報告する。砂を断続的に流す千代川1998年と2004年,千代川では久々に大規模な出水が発生し,川原が砂で満ちあふれ,砂礫が活発に移動した。礫集団の動きを追跡調査しつづけた結果,粒径の混合効果の役割を再認識した。つまり礫集団の動きは,1998年の大規模出水後4-5km流下したが,数年後には移動を停止した。そして再び2004年の大規模出水で流下したが,数年後には移動を停止した。大規模出水時には河原が砂であふれ,その数年後には砂が流亡し河原が礫がちになり,礫集団の移動が停止した。そして河原が草本類で被覆された。沿岸砂州の規模変遷鳥取砂丘の浅海底に発達する沿岸砂州の規模を,5年おきに撮影された空中写真で調べた結果,1968年~1998年にかけては縮小傾向にあった沿岸砂州が,2003年には大規模に拡大し,2008年も拡大状態を維持したことが明らかになった。沿岸砂州の規模は,千代川の大規模出水に数年遅れて対応した。また沿岸砂州の規模変化は西から東に向けて伝播した。1968年~1998年の沿岸砂州の規模縮小は,千代川で実施されてきた川砂利採取の影響(負の遺産)と考えられる。砂浜堆積物の粒度変遷2004年,2009年,2011年に鳥取砂丘が面する海浜において,堆積物の粒度組成調査を実施し,1955年当時のデータと比較した。少なくとも2004~2009年にかけては中央粒径1.0mm以上と粗粒化していた海浜が,2011年には0.5mm~0.25mmへと細粒化し,1955年当時の粒径に戻りつつある実態が明らかになった。粒径変化は,千代川河口に近い西側から東に向けて伝播した。また1980年代以降,侵食傾向にあった鳥取砂丘海岸は,2010年から2011年の冬には汀線の前進が顕著であった。飛砂特性と草原化風洞実験によると,海浜の粒度のわずかな変化(中央粒径1.0mmと0.2mm)が,飛砂量には決定的な違いをもたらす。砂浜からの飛砂量は砂丘内の飛砂量に大きい影響を与える。つまり砂浜の中央粒径が1.0mmであった時代には,砂浜からの飛砂量が抑制され,その結果砂丘内の飛砂も不活発となり,非砂丘植物も生育できる環境が維持されてきた。これが砂丘草原化の原因と考える。2011年以降,砂浜の中央粒径が0.5mm以下へと細粒化したため,砂浜からの飛砂量が今後増加し,砂丘内の飛砂も活発になる。すると草原化が自然に緩和することが期待される。自然のダイナミックな回復力をジオ・ストーリーに以上のように,鳥取砂丘およびその海岸部では,自然がダイナミックに回復してきている。このようなストーリーは,ジオパークの訪問者が自然のシステムについて学ぶための素材となり,自然に対して畏敬の念を抱くきっかけとなる。