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[MIS36-10] 液中非接触原子間力顕微鏡による結晶表面での吸着分子観察
キーワード:原子間力顕微鏡, 結晶成長, 原子像, 吸着分子, タンパク質結晶
近年液中での非接触原子間力顕微鏡観察が盛んに行われている。我々はそれを用いてタンパク質結晶である正方晶リゾチーム(110)面の溶液中観察を行った。非常に弱い相互作用力で高分解能像が得られるという特徴を活かし、分子分解能像や吸着分子等の観察を行うことに成功した。 原子間力顕微鏡 (AFM) による高分解能観察において最も重要なのは、如何にして弱い相互作用力で表面の情報を得るか、ということにある。これまで固液界面観察で主流であった接触方式(コンタクト)や振幅変調方式(タッピング)ではnNオーダーの強い相互作用力によって画像化していたが、近年開発が進められている周波数変調方式による非接触原子間力顕微鏡 (NC-AFM)[1]ではpNオーダーと弱い相互作用力により表面観察が可能である。この利点として、例えば原子1個や分子1個との間に働く弱い相互作用力によって画像化が可能であることがあげられ、高分解能観察や表面に弱い力で吸着している吸着分子観察への応用が期待できる。本発表ではタンパク質結晶である正方晶リゾチーム(110)面の分子分解能観察[2]や吸着分子観察を例にとって非接触原子間力顕微鏡の利点を紹介する。謝辞非接触原子間力顕微鏡の設置や操作等については(株)島津製作所にご協力頂いた。リゾチーム結晶の作成については大阪大学森研究室ならびに(株)創晶の方々にご協力頂いた。理論的なAFM像については(株)アドバンストアルゴリズム&システムズ社の走査プローブ顕微鏡シミュレータを使用させて頂いた。[1] T. Fukuma et al., Appl. Phys. Lett. 87, 034101 (2005).[2] K. Nagashima et al., J. Vac. Sci. Technol. B 28, C4C11 (2010).