日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT41_28PM2] 地球惑星科学における地図・空間表現

2014年4月28日(月) 17:06 〜 17:57 422 (4F)

コンビーナ:*小荒井 衛(国土地理院地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室)、鈴木 厚志(立正大学地球環境科学部)、座長:小荒井 衛(国土地理院地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室)、鈴木 厚志(立正大学地球環境科学部)

17:06 〜 17:21

[MTT41-P05_PG] 曲率と傾斜による立体図法(CS立体図)の開発について

ポスター講演3分口頭発表枠

*戸田 堅一郎1大丸 裕武2小荒井 衛3中埜 貴元3岩橋 純子3 (1.長野県林業総合センター、2.森林総合研究所、3.国土地理院)

キーワード:CS立体図, 地形判読, 曲率, 傾斜

1.研究の背景と目的
従来、崩壊等の危険地予測には、地形図や空中写真などから危険な地形を判読する手法が用いられてきた。地形判読は危険地予測をする上で非常に有効な手法であるが、いくつか問題点がある。①判読者の技術と経験の差によって結果が異なる。②等高線による地形図では、線状凹地形や湧水などの危険地判読をする上で重要な微地形表現が難しい。③近年撮影された空中写真は、森林の樹冠により地表が覆われているため、詳細な地形が判読できない。④数値標高データ(DEM)から作成する一般的な立体図法である陰影図や鳥瞰図は、光源や視点の位置により地形の見え方が変わり地形判読には不向き等である。そこで、これら問題点を解決し、汎用GISソフトで容易に作成可能な立体図法(CS立体図)の開発を行った。

2.CS立体図の作製方法と地形判読
地形図を用いて地形を判読する場合、判読者は等高線から標高、傾斜、勾配変化(曲率)の情報を読み取り、頭の中で立体イメージに変換している。CS立体図は、これらの情報を視覚情報から直感的に読み取ることができるように、DEMから曲率と傾斜を計算し、異なる色調で彩色して透過処理することで立体的に地形を表現する。CSとは曲率(Curvature)と傾斜(Slope)の頭文字を意味する。
航空レーザ測量により長野県内で計測された1mメッシュのDEMを用いてCS立体図を作製し、目視により地形判読を行った。治山事業計画地等から対象地を選定し、湧水やリニアメント等、崩壊危険地予測の際に注目すべき特徴的な地形を抽出した。抽出した場所のCS立体図をハンディGPSの背景図に設定し、ナビゲーション機能により現地に行き、地形判読結果と現地の状況を照合した。

3.結果
CS立体図を用いた地形判読では、従来の地形図からは判読することが困難だった微小な崩壊跡地形や湧水、地すべり地に特有の線状凹地形や等高線に平行方向のリニアメント等を容易に判読することができ、現地調査においてもこれらを確認することができた。