日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT41_28PO1] 地球惑星科学における地図・空間表現

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*小荒井 衛(国土地理院地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室)、鈴木 厚志(立正大学地球環境科学部)

18:15 〜 19:30

[MTT41-P17] 地形の高さ表現における連続断面の効果

*新井 陸1森田 喬2工藤 圭介1 (1.法政大学大学院デザイン工学研究科、2.法政大学デザイン工学部)

キーワード:地形図, 連続断面, 都市空間構造, 外濠, 山の手, 神社

地形の高さの表現方法としては,平面図における等高線や段彩図,さらに陰影を付すことにより立体感を与える陰影図などがある.近年は詳細な数値標高モデルにより,微地形に至るまで凹凸を表現できるようになっている.これらの表現方法により,空中写真では得にくい地形の変化を直観的に認知できるように示すことが可能となっている.
しかし,等高線のように,数量的に計測可能な形で地形の起伏を示すことも重要である.そこで,陰影段彩による地形凹凸地図に等高線を重ねたり,任意の断面を切り出したりすることで,特定の2地点間の起伏を可視化することも行われる.さらに,等間隔に平行な断面を連続的に切り出し連続断面に陰影処理を行うことで,主題図として地形を表現することも可能である.
これらの微地形の起伏を背景図として与え,その上にさまざまな主題情報を表現することにより,都市空間構造の成立要因が見えてくる.例えば,かつての江戸城の外濠は,一部は関東大震災の復興時に埋め立てられているが,市ヶ谷付近では貴重な水辺空間として現存している.この地点は,外壕通りに靖国通りが流入する場所であり交通量が多く,また,かつての門前町にあたる部分には多くのビルが乱立している.しかし,その間を抜けて,奥へ入り込むと,「市ヶ谷八幡」につながる.
市ヶ谷八幡は,山の手における神社の典型的な立地のあり方を示している.丘陵の縁に位置しており,小高いところに境内が設けられ,急な階段を下った門前には町家が並び,その間を抜ける参道がある.さらに進むと外濠に至る.この空間構造は,今も健在しており,江戸時代から不変の空間構造となっている.
そこで,本研究では,地形が与える都市空間構造への影響を検証するために,地形起伏の豊かな外濠周辺について,地形の高さ表現をいろいろ試みる.特に「市ヶ谷八幡」については,連続断面表現の効果を検討する.
結果として,微地形の起伏について,平面的な等高線や段彩陰影図だけでなく,斜めからの俯瞰図,さらには連続断面表現により詳細な地形勾配を表現した.これらに主題情報を重ねて表現することにより都市空間構造の成立要因について地形の影響について定量的情報も含んで議論することが可能となった.