15:30 〜 15:45
[MZZ45-06] 科学における理論変化 ―太陽系形成論をケースに
キーワード:科学哲学, 科学史, 科学論
現在の科学哲学は、科学の専門化と同じように個別化が進んでいるが、地球(惑星)科学に関する科学哲学の研究は、1960年代のプレートテクトニクス革命を取り上げたものが1980-90年代に多く見られた後、活気を欠いてきているように見える。最近の科学哲学についてのアンソロジー(Curd & Psillos 2013)を見ても、生物学、化学、認知科学、経済学、心理学、社会科学などが個別科学哲学で挙げられる中で、地球科学は抜け落ちている。上記のプレートテクトニクス革命をテーマとした科学哲学の諸成果は、すでにデータとして1960年代の地球科学を対象とした科学史研究が蓄積されていたことが前提にあった。対照的に、地球惑星科学の哲学においては、地球科学と惑星科学の融合過程が未だ詳らかにされていないことから、その史的データを発掘していくことも必要である。本論では、Brush(1996)による惑星科学史を手掛かりとしながら、太陽系の起源・進化をめぐる20世紀初頭から中葉までの理論の流れを俯瞰し、この過程を説明するモデルとしてどのようなものが適切であるかを考察したい。