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[MZZ45-P01] 山口県美祢産の様々な大理石とその採掘の歴史について
キーワード:大理石, 美祢, 山口県, 石材産業, 採石場, 歴史的建築物
山口県の美祢地区はカルスト台地として知られ,秋芳洞は全国的に名を知られる鍾乳洞である.この石灰岩台地は,現在も工業用材料としての石灰岩の産地であるが,以前は建築用の大理石の採掘も行われており,国内最大の大理石産地であった.産業的採掘が始まったのは明治末期からとされ,すべて国内産の材料を用いるとした国会議事堂(1936)建設時には内装材や暖炉などに美祢産大理石が多く用いられた.その後,第二次世界大戦を挟み昭和40年代頃までは大きな産業として成り立っていたと考えられるが,安価な輸入大理石に価格と供給スピードの面で太刀打ちできなくなって国産大理石市場は急激に縮小した.現在ではほとんど建築材としての採掘は行われていないばかりか,多様な色・柄の大理石がそれぞれどの採石場でどの時期に採掘されていたかも確かな記録がなかなか見つからない状況である.
地質資源のひとつである大理石が,明治~昭和初期の日本の工業化の中でどのような役割を果たしたかを記録しておくことは大変重要であると考える.それだけでなく,建物側でも大理石の産地銘柄が記録されていないことが多いため,このような記録は近代の歴史的建築物の価値を正しく評価するために今後ますます必要になると思われる.そこで,文献と現地調査とからできるだけ多くの大理石の種類・銘柄名と,それらが採掘されていた採石場,またそれらの大理石を現在も残している場所(主に歴史的建築物)とを現在までに分かる範囲で整理したので紹介したい.
地質資源のひとつである大理石が,明治~昭和初期の日本の工業化の中でどのような役割を果たしたかを記録しておくことは大変重要であると考える.それだけでなく,建物側でも大理石の産地銘柄が記録されていないことが多いため,このような記録は近代の歴史的建築物の価値を正しく評価するために今後ますます必要になると思われる.そこで,文献と現地調査とからできるだけ多くの大理石の種類・銘柄名と,それらが採掘されていた採石場,またそれらの大理石を現在も残している場所(主に歴史的建築物)とを現在までに分かる範囲で整理したので紹介したい.