日本地球惑星科学連合2014年大会

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[O-06_30AM2] 日本のジオパーク

2014年4月30日(水) 11:00 〜 12:45 メインホール (1F)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、住田 達哉(産業技術総合研究所)、座長:目代 邦康(自然保護助成基金)

12:19 〜 12:45

[O06-08] 苗場山麓ジオパーク構想~3万年前から現在までの人と大地の関わり~

*佐藤 信之1中沢 英正1 (1.津南町教育委員会)

キーワード:苗場山, ジオパーク, 河岸段丘, 火山灰, 考古遺物

苗場山麓ジオパーク構想について概要を紹介します。 「苗場山麓ジオパーク」は、苗場山の北西麓に位置し、新潟県津南町と長野県栄村がエリアとなります。本ジオパークの特徴は、雪が3~4mも積もる中、現在1万人以上の人口を保ち、3万年前から現在まで、営々と紡がれたヒトの歴史文化そして大地との関わりを知る事ができるということです。地球上では大気・海洋・陸地など様々な要因によって環境変化が、起こってきました。このような中で、本ジオパークの河岸段丘をはじめとする大地にある岩石や粘土、火山灰、泥炭層などの植物依存体や花粉などと考古学的遺物・遺跡の情報、水や雪、雨などの気象を通して、人類史における大地の関わりと植生変化などの環境変化が、ヒトに与えた影響を考えることができます。苗場山麓は、約300万年前に陸化し、その上に苗場山の溶岩流によって大地の基礎が築かれました。そして、河岸段丘の発達、降雪、湧水によって、豊かな自然環境が、形成されました。この豪雪としての環境は、およそ8000年前から現在まで続いています。先史時代には、その大地を舞台としてヒトの定住性が高まり、大地の資源利用が始まります。地形の形成とヒトの暮らしが、密接に関係しているのです。例えば、5000年前の縄文時代には、大地にある粘土や赤土から独創的な造形である火焔型土器を作り、火山噴出物や大昔の堆積物である岩石を採取して石の道具である石器を作り、自然の恩恵を享受しながら、河岸段丘の上で集落を営み暮らしていました。また畏怖としてのこれらを示す考古学的資料が、多く出土しています。そして、大地と人との関わりを示す多くのデータが、あります。この「苗場山麓ジオパーク」をキーワードに私たちは、ふるさとの事を真剣に考え始めました。本構想は、ジオ・エコ・カルチャーを含む大事なふるさとの宝を改めて見つめ直し、地域を愛し、学び、守り、次の担い手である子ども達と共に未来に伝えていこうというものです。「ジオエッグ」という地域住民が主体となった団体が生まれ、多くの住民が、地域資産を回り、生まれ育ったふるさとの事を知ろう、学ぼうという意識を持ち始めています。私たちにとって、長野県北部地震という災害を乗り越え、復興への希望の1つが、「苗場山麓ジオパーク」なのです。