日本地球惑星科学連合2014年大会

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[O-06_30PO1] 日本のジオパーク

2014年4月30日(水) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、住田 達哉(産業技術総合研究所)

18:15 〜 19:30

[O06-P05] 南紀熊野ジオパーク構想におけるジオガイド養成の取り組み

*山本 俊夫1谷脇 智和2 (1.パシフィックコンサルタンツ㈱、2.和歌山県自然環境室)

キーワード:ジオパーク, ジオガイド, 南紀熊野, 試行ジオツアー

南紀熊野ジオパーク構想は、本州最南端となる紀伊半島の南部の地域で、和歌山県新宮市、白浜町、上富田町、すさみ町、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町の1市7町1村からなる地域である。
本地域は、東西、南北とも約60kmで、総面積は約1400 km2と広範囲で、1000mを越える急峻な山地から、沈水海岸による入り組んだ海岸線まて、様々な地形をもつ地域である。地質に関しては、プレートの一連の動きによって、生み出された3つの地質体で構成されている。中央部は海洋プレートの沈み込みによって海溝付近で作られた付加体からなり、東部と西部は、付加体上で形成された前弧海盆堆積体で構成されている。さらに東部には巨大な火成岩体が分布している。
これらの大地の上には、それぞれ特徴的な地形景観や生態系、文化が育まれており、それらは互いに深く結びついている。このような南紀熊野の地では、大地と生き物と人との間で、様々な魅力的な出会いが常に生まれてきた。
これらのことから、プレートが出会って生まれた3つの大地~大地に育まれた熊野の自然と文化に出会う~というテーマで、南紀熊野ジオパーク構想が生まれた。
南紀熊野ジオパーク推進協議会では、2013年度から2015年度の間に100人以上のジオパークガイドの養成を行う計画である。2013年度は70名を超える受講の申し込みがあり、第1期(約60名)のジオパークガイドが誕生した。ジオパークガイド養成に際しては、ガイドテクニックや安全管理の習得を基本として、現地実習やジオツアーの実践等を重視したカリキュラムを実施することで、有償でガイドを行うことが出来る質の高いジオパークガイドを養成した。
 ジオパークガイド養成にあたっては、座学や現地見学実習で学んだことを実践的なスキルとして伸ばすため、受講者が中心になって行う試行ジオツアーをカリキュラムに組み入れている。この取り組みにより、座学のガイド養成講座では身につけることの難しい、安全管理や時間管理の重要性についての実践力を養成し、実施後の反省会においてはジオパークガイドを行っていく上での改善点を明確にすることが出来るなど、ジオパークガイド全体の底上げ効果を得ることが出来た。
 また、実際に試行ジオツアーを計画、実施し、振り返ることで、来訪者に楽しんでいただくためのツアーの構成を検討する重要な機会となった。この試行ジオツアーにおいては、ガイド養成講座受講生自身が、ジオ丼の開発を地域業者に働きかけるなど、来訪者を迎えるための地域のツール作りを行い、ジオパーク活動を盛り上げようという機運も高まっている。
 養成後のジオパークガイドについては、講習会や意見交換会などの機会を設け、継続的なスキルアップを図っていく。また上級ジオパークガイドの養成にも取り組んでいく計画である。