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[O06-P07] 立山黒部ジオパーク構想が目指す民間と行政の協業によるジオパーク活動について
キーワード:立山黒部ジオパーク構想
富山平野のほぼ中央に位置する呉羽山丘陵は、富山県を地理的に呉東、呉西という東西2つの地域に分ける役割を持ち、それぞれの地域には風土・風習の違いがゆるやかに存在している。すなわち歴史地理上、加賀藩の文化が伝播してきた影響を色濃く残しそれを背景とした地域づくりに取り組む呉西と、3000m級の急峻な峰々の連なる立山連峰に抱かれ、人々が臨海扇状地などの独特の地形を舞台に生活を営む呉東である。それぞれの特色は文化と自然に分類される。立山黒部ジオパーク構想はこの呉東という地域の風土と風習、そして人々の活動と想いが苗床となり発祥したものである。
本地域の特徴の一つとして、地域の魅力を探究したり、保護・保全したり、広く普及する活動が行政の支援を受けた住民や多くの任意団体等によって自主的に進められている点があげられる。
この地域の魅力はなんといっても風土に起因した独特で多様性に満ちた自然環境とそれに育まれた大地の恵み、海の幸である。地域では早くから、これらの資源が大切な守るべきものとしての理解が進み、全国に先駆けて成立したナチュラリスト制度などにより保護保全と普及啓発がおこなわれ多くの成果・実績を上げている。とくに、数多くのガイド組織の活発な活動は、地域内にある北アルプスの主稜から富山湾の臨海平野部を網羅するほどである。更に自然と生活が一体化した環境の中で人々は、地域学を通した郷土の自然、歴史、文化などの調査探究の活動を精力的に展開したことで、自らの生活圏に大地の営みが深く関わっていることに気づき、その魅力の深淵を知りたいという探求心の発現とともに、地域活性化の足がかりとして期待する機運が着実に萌芽、力強く成長を始めている。これらの自主的で活発な活動が営まれている反面、ふだん享受できている数々の自然の恩恵のかげに大地の物語があることを理解している住民、旅行者はそれほど多くはない。
このような状況の下、本地域のジオパーク構想の興りは上記の地域学団体、自然解説員、大学・高校教員、博物館学芸員などの有志達が長年紡いできた絆の発露といえる。平成25年1月20日に設立された任意団体「黒部・立山ジオパーク研究会」はジオパークとしての地域の設定案、既存の人的な活動量と物的な資源量の調査、将来の事業内容や分担の検討、および想定エリアの自治体に対しての活動助成と参画の働きかけなどジオパーク構想を暖める活動をおこなってきた。更に研究会は、地域の産業を支える経済界に対してジオパーク活動への直接参画を要請したことで本地域のジオパーク構想の最大の特徴でもある、地域経済界がジオパーク活動に強い影響力を持つに至った。
こうして任意団体「立山黒部ジオパーク推進協議会」は黒部・立山ジオパーク研究会を前身とする発展改組で、平成25年12月9日に発足した。この協議会は、地域経済界および行政の支援を受けてジオパークの人的な活動を担うことを役割としてジオパーク実現に向けた各種の事業を推進している。役員には地域振興活動の先導者や経済界要人をそえ、民間により運営し、現在活動内容を企画運営部会、研究教育部会、ジオガイド人材育成部会、ジオツーリズム部会の4部門からなる。それらはボランティアスタッフによって支えられているが、今後はジオパークの経営的観点から商工観光業などの事業所に積極的な関与を求めていく。
一方地域行政は、上記推進協議会に対しての支援とともに各地に設定したジオサイトの保護・保全・活用にかかるハード整備と制度作りや、学校教育・生涯学習にジオパーク活動を取り入れ郷土・環境・防災教育に活用すること、更に博物館学芸員などがこれまで余暇活動として推進協議会に参加してきた労力を業務の一部として関われることにするなどの役割を分担していくことを計画している。現在、平成26年度からの本格的なジオパーク活動の開始と推進協議会への支援体制を執るための「立山黒部ジオパーク支援自治体会議」を準備している。
「活動の整備」と「施設の整備」を民間と行政で分担し、協業によってジオパーク活動を支える。この仕組みと連携をもって地域の維持・発展を目指していくのが立山黒部ジオパーク構想なのである。
本地域の特徴の一つとして、地域の魅力を探究したり、保護・保全したり、広く普及する活動が行政の支援を受けた住民や多くの任意団体等によって自主的に進められている点があげられる。
この地域の魅力はなんといっても風土に起因した独特で多様性に満ちた自然環境とそれに育まれた大地の恵み、海の幸である。地域では早くから、これらの資源が大切な守るべきものとしての理解が進み、全国に先駆けて成立したナチュラリスト制度などにより保護保全と普及啓発がおこなわれ多くの成果・実績を上げている。とくに、数多くのガイド組織の活発な活動は、地域内にある北アルプスの主稜から富山湾の臨海平野部を網羅するほどである。更に自然と生活が一体化した環境の中で人々は、地域学を通した郷土の自然、歴史、文化などの調査探究の活動を精力的に展開したことで、自らの生活圏に大地の営みが深く関わっていることに気づき、その魅力の深淵を知りたいという探求心の発現とともに、地域活性化の足がかりとして期待する機運が着実に萌芽、力強く成長を始めている。これらの自主的で活発な活動が営まれている反面、ふだん享受できている数々の自然の恩恵のかげに大地の物語があることを理解している住民、旅行者はそれほど多くはない。
このような状況の下、本地域のジオパーク構想の興りは上記の地域学団体、自然解説員、大学・高校教員、博物館学芸員などの有志達が長年紡いできた絆の発露といえる。平成25年1月20日に設立された任意団体「黒部・立山ジオパーク研究会」はジオパークとしての地域の設定案、既存の人的な活動量と物的な資源量の調査、将来の事業内容や分担の検討、および想定エリアの自治体に対しての活動助成と参画の働きかけなどジオパーク構想を暖める活動をおこなってきた。更に研究会は、地域の産業を支える経済界に対してジオパーク活動への直接参画を要請したことで本地域のジオパーク構想の最大の特徴でもある、地域経済界がジオパーク活動に強い影響力を持つに至った。
こうして任意団体「立山黒部ジオパーク推進協議会」は黒部・立山ジオパーク研究会を前身とする発展改組で、平成25年12月9日に発足した。この協議会は、地域経済界および行政の支援を受けてジオパークの人的な活動を担うことを役割としてジオパーク実現に向けた各種の事業を推進している。役員には地域振興活動の先導者や経済界要人をそえ、民間により運営し、現在活動内容を企画運営部会、研究教育部会、ジオガイド人材育成部会、ジオツーリズム部会の4部門からなる。それらはボランティアスタッフによって支えられているが、今後はジオパークの経営的観点から商工観光業などの事業所に積極的な関与を求めていく。
一方地域行政は、上記推進協議会に対しての支援とともに各地に設定したジオサイトの保護・保全・活用にかかるハード整備と制度作りや、学校教育・生涯学習にジオパーク活動を取り入れ郷土・環境・防災教育に活用すること、更に博物館学芸員などがこれまで余暇活動として推進協議会に参加してきた労力を業務の一部として関われることにするなどの役割を分担していくことを計画している。現在、平成26年度からの本格的なジオパーク活動の開始と推進協議会への支援体制を執るための「立山黒部ジオパーク支援自治体会議」を準備している。
「活動の整備」と「施設の整備」を民間と行政で分担し、協業によってジオパーク活動を支える。この仕組みと連携をもって地域の維持・発展を目指していくのが立山黒部ジオパーク構想なのである。