日本地球惑星科学連合2014年大会

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[O-06_30PO1] 日本のジオパーク

2014年4月30日(水) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、住田 達哉(産業技術総合研究所)

18:15 〜 19:30

[O06-P42] とかち鹿追ジオパークにおける「凍れ(しばれ)」の多様性とその活用

*大西 潤1澤田 結基2 (1.とかち鹿追ジオパーク推進協議会、2.福山市立大学)

キーワード:とかち鹿追, ジオパーク, 凍結, 凍れ(しばれ)

とかち鹿追ジオパークでは、テーマを『火山と凍れが育む命の物語』とし、国内のジオパークで唯一、凍れ(凍結)をメインテーマに扱っている。今回のポスター発表では、その凍れ(しばれ)の世界と活用について紹介する。
とかち鹿追ジオパークは、北海道の内陸部に位置するため内陸的な気候にあり、冬の最低気温は-25℃に達する。寒冷かつ積雪量の少ない気候条件の下にある当ジオパークでは、各所において凍結に係わる様々な自然現象や地形を見ることができる。また町内では、凍結を活用した農業の姿をみることができる。
エリア北部に位置する然別火山群では、溶岩ドームの自破砕と凍結破砕によってつくられたと考えられる岩塊斜面の地下に永久凍土が存在し、そこから日本最古(約4000年前)の氷が発見されている。また、周囲には夏でも涼しい風穴地帯が広がり、冷涼な環境のもとで様々な高山植物を始め、エゾナキウサギやカラフトルリシジミなど氷期の遺存種が生息している。然別火山群の山麓部では、氷期に地層が凍結・融解を繰り返すことによってできた「インボリューション」と呼ばれる地層の撹乱構造が見られ、地上には周氷河作用を受けたと考えられる丸みを帯びた丘陵地が広がっている。
この地域に暮らす人々の生活も寒冷地に適したものになっている。家屋には断熱効果の高い2重窓が据えられ、ストーブに使用する灯油タンクも400ℓと巨大なものが設置されている。また、冬になると学校の校庭にはスケートリンクが作られ、学校の授業で使用されている。
農業分野では、土壌凍結を利用した野良いも退治や、氷を利用したジャガイモの低温熟成が行われている。、また、冬季に凍結する然別湖の湖上では、雪と氷の世界を楽しむイベント『しかりべつ湖コタン』が開催され、氷上露天風呂やアイスバー、冬の自然観察を多くの観光客が楽しんでいる。