日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG11_28AM2] Instrumentation for space science

2014年4月28日(月) 11:00 〜 12:45 421 (4F)

コンビーナ:*松岡 彩子(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 太陽系科学研究系)、吉川 一朗(東京大学)、座長:松岡 彩子(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 太陽系科学研究系)、吉川 一朗(東京大学)

12:15 〜 12:30

[PCG11-08] ジオコロナ撮像装置LAICAの開発

*佐藤 允基1亀田 真吾1吉川 一朗2田口 真1船瀬 龍2川勝 康弘3 (1.立教大学、2.東京大学、3.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:ジオコロナ, ライマンα線, 外気圏, 地球大気

地球大気圏の最も外側で大気が無衝突となる、密度が希薄な領域のことを外気圏と呼ぶ。外気圏における主な構成原子は水素とヘリウムであるが、これらの原子は特定の太陽紫外放射を選択的に散乱しており、地球全体を包む紫外グローを形成することからジオコロナと呼ばれている。その中でも水素ライマンα線(121.567nm)が最も明るく、これまでに様々な観測が行われてきた。 ジオコロナを構成する原子の軌道は、弾道軌道、地球を周回する軌道、地球重力圏を脱出する軌道の3種類ある。特に高高度では地球重力圏を脱出する軌道を持つ原子が支配的となり、過去の観測では高度約20REにまで及ぶジオコロナが確認されている。ジオコロナの空間分布の特徴として、外気圏水素が反太陽方向に引き伸ばされ、密度が太陽方向よりも高くなるようなジオテイルと呼ばれる構造や、昼夜、南北、朝夕の非対称性などが知られている。最近では、3~8REまでの範囲に存在する水素原子数が磁気嵐に伴って6~17%程度増加するという現象が確認されたが、その原因は未解明である。 過去の計画では地球周回衛星からの観測が主で、ジオコロナの広がりに対して低高度(~8RE)の観測が多く行われてきた。一方、高高度のジオコロナ分布を捉えるためには地球から十分離れ、ジオコロナの外から観測を行う必要があるが、観測例は極めて少なく、Mariner 5、Apollo 16、のぞみの3例だけである。その中でも2次元イメージャを搭載し、撮像を行ったのはApollo 16だけであるが、観測視野は10RE程度までとなっている。そこで本研究では地球を脱出して惑星間空間を航行するような軌道に乗る、超小型深宇宙探査機PROCYONに搭載予定のジオコロナ撮像装置LAICAの開発を行っている。月軌道以遠に達する探査機からであれば、地球周回衛星よりも広い観測視野(25RE以上)でジオコロナの全球分布を捉えることが可能となる。目標としては、打ち上げ後1~2週間で観測を行い、広範囲のジオコロナ分布を撮像する。また、打ち上げ後10日から3か月程度の期間で、地球周回衛星に比べて高い時間分解能(1時間程度)での観測を行い、高高度のジオコロナ分布の変動を捉える。現在は試作機の製作を進め、振動・衝撃試験などを実施している。フライトモデルも2014年5月には完成予定である。本発表では装置の開発状況について報告する。