日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM05_2AM2] Characteristics of atmospheric waves in the mesosphere-lower thermosphere (MLT)

2014年5月2日(金) 11:00 〜 12:45 424 (4F)

コンビーナ:*津田 敏隆(京都大学生存圏研究所)、新堀 淳樹(京都大学生存圏研究所)、座長:Liu Huixin(九州大学理学研究院地球惑星科学専攻 九州大学宙空環境研究センター)

11:30 〜 11:45

[PEM05-08] アラスカ及びトロムソMFレーダーで観測された 中間圏重力波の日内変動

*村山 泰啓1木下 武也1川村 誠治1野澤 悟徳2ホール クリス3 (1.情報通信研究機構、2.名古屋大学太陽地球環境研究所、3.トロムゾ大学)

中間圏における重力波と潮汐波、それらの相互作用に関する観測研究は、以前から様々な地点で行われてきた(e.g., Saskatoon, Canada (Manson et al. 1998), Rothera, Antarctica (Beldon and Mitchell, 2010))。アラスカではポーカーフラット、ノルウェーではトロムソに設置されたMFレーダーにより、中間圏から下部熱圏における中性風速データが1990年代後半より蓄積されている。本研究では昨年に引き続き、潮汐波と重力波の結合プロセスの理解を深めるため、10 年間(1999~2008 年) の上記観測データを用いて、中間圏重力波と12時間及び24時間周期成分の日内および季節変動を調べた。まず始めに、トロムソMFレーダー観測の水平風速30分間隔データ5日分の時系列に8, 12, 24, 48時間周期成分の調和フィッティングを行った。重力波はこれらの残差で1~12 時間周期を持つ擾乱と定義した。上記手法を30 分間隔ごとに適用し、12時間及び24時間周期成分の振幅や位相の5日間移動平均値を計算した。得られた12時間及び24時間周期成分と重力波の運動エネルギーとの関係を調べた結果、昨年の解析におけるポーカーフラットMFレーダー観測で5~8月に見られた1~4時間周期の重力波運動エネルギーの2つのピークは見られなかった。一方で11~2月にかけ、6UT付近でエネルギーの増大が確認された。これは、24時間周期成分の東風が最大、または12時間周期成分の東風から西風に変わる時刻に対応していた。続いて、ポーカーフラットMFレーダー観測で2000年11月15日から約20日間続いた東西風の半日成分の位相に重力波運動エネルギーがロックされる現象がトロムソでも見られるか確認した。その結果、同日から約10日間は同様の現象が見られたが、重力波運動エネルギーの位相が90度ずれて対応していた。ポーカーフラットで見られた現象は、この時期以外の期間、高度においてはよく見られ、一ヶ月以上続く事例も確認された。今後は、それぞれの地点における潮汐波の太陽同期、非同期成分及び背景場に焦点をあて、重力波特性の違いを引き起こす要因を明らかにすしたいと考えている。