日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM08_1PM2] Space Weather and Space Climate

2014年5月1日(木) 16:15 〜 18:00 411 (4F)

コンビーナ:*片岡 龍峰(国立極地研究所)、海老原 祐輔(京都大学生存圏研究所)、草野 完也(名古屋大学太陽地球環境研究所)、清水 敏文(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、三好 由純(名古屋大学太陽地球環境研究所)、浅井 歩(京都大学宇宙総合学研究ユニット)、佐藤 達彦(日本原子力研究開発機構)、陣 英克(情報通信研究機構)、伊藤 公紀(横浜国立大学大学院工学研究院)、宮原 ひろ子(武蔵野美術大学造形学部)、座長:片岡 龍峰(国立極地研究所)、佐藤 達彦(日本原子力研究開発機構)

16:45 〜 17:00

[PEM08-03] 2012年3月7日に発生したX5.4フレア:太陽表面における磁場・速度場の特徴

*清水 敏文1ライツ ブルース2伴場 由美3 (1.宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所、2.国立大気研究所高高度観測所、3.名古屋大学)

キーワード:太陽フレア, ひので, X線, 可視光, 磁場, ドップラー速度

太陽フレアは、磁力線の捻れとしてコロナに蓄積された自由エネルギーが突発的に解放され、場合によっては宇宙空間へコロナプラズマの噴出を伴う。捻れた磁力線の形成やフレア発生のトリガー機構はまた良く理解できていない。特に、大フレアを引き起こす磁気中性線付近で観測されるダイナミカルな振る舞いについては観測例が乏しい。本講演は、2012年3月7日に発生したX5.4クラスのフレアについて、特に太陽表面で観測される磁場・速度場の特性について議論する。このフレアに伴うコロナ質量放出(CME)は惑星間空間に伝播して、3月9日に大きな磁気嵐を発生させている。講演で議論する予定の特筆すべきことの一つに、磁気中性線にほぼ沿って観測された高速の物質流がある。この中性線は、主エネルギー解放領域に形成されたフレアループの足元を示すフレアリボンの中間付近に存在する。この高速流が観測された磁場は、磁気中性線に沿って形成された太陽面にほぼ平行な磁場である。また、この流れはフレア発生の少なくとも6時間以上前には現れ、フレア発生後も数時間は継続的に見られる。観測データは、この流れは磁気浮上や磁気中性線へ向う収束流ではなく、むしろ磁気中性線に沿って磁気シアを増加させ、爆発的フレア発生にとって好ましい磁場構造を作っていく役割をする物質流であることを示唆している。