16:45 〜 17:00
[PEM08-30] 太陽と同じくらいの自転周期を持つ2つの太陽類似スーパーフレア星の発見
キーワード:太陽型星, スーパーフレア, 高分散分光観測
本講演では、2つの「スーパーフレア星」KIC 9766237とKIC 9944137の、すばる望遠鏡/高分散分光装置(HDS)での観測結果を報告する。スーパーフレア星は太陽と同じG型主系列星だが、太陽に比べて非常に大きなフレアを起こす天体で、ケプラー衛星で得られたデータからごく最近発見された。明るさの変化を調べることにより、それらの星の多くは10日以下の自転周期を持つと考えられているが、この2つの星の星の自転周期は21.8日と25.3日と推定されていた。我々の観測により、有効温度、表面重力、金属量の点で、この2つの星は太陽に非常に近い性質を持っていることが明らかになった。また明るさの変化から推定された自転周期から考えられる自転速度と、分光観測から求められた射影自転速度が近く、自転軸の視線速度に対する傾斜角はかなり高いことがわかる。Ca II 8542の吸収線を使う方法で、これらの星表面の平均磁場強度は1-20ガウス程度と、太陽と同程度かやや大きいくらいと推定される。観測にかからない低質量の伴星がある可能性を否定するためにはさらなる観測が必要だが、我々のデータには連星である証拠は見られなかった。今回の観測結果は、KIC 9766237とKIC 9944137が太陽と非常に近い分光学的性質を持つことを示しており、太陽でもスーパーフレアが起こるという可能性を支持するものである。