日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM28_29PM2] 磁気圏-電離圏結合

2014年4月29日(火) 16:15 〜 18:00 413 (4F)

コンビーナ:*中野 慎也(情報・システム研究機構 統計数理研究所)、田中 良昌(国立極地研究所)、堀 智昭(名古屋大学太陽地球環境研究所 ジオスペース研究センター)、座長:中野 慎也(情報・システム研究機構 統計数理研究所)、田中 良昌(国立極地研究所)、堀 智昭(名古屋大学太陽地球環境研究所 ジオスペース研究センター)

17:00 〜 17:15

[PEM28-17] トロムソでの地上光学観測に基づく圧力駆動型プラズマ不安定を示唆するオーロラ構造の統計解析

*橋本 あゆみ1塩川 和夫1大塚 雄一1大山 伸一郎1野澤 悟徳1 (1.名古屋大学太陽地球環境研究所)

キーワード:オーロラ, 圧力駆動型プラズマ不安定, 地上光学観測

オーロラの形状は、地球磁力線による磁気圏・電離圏結合により、磁気圏の擾乱が磁力線沿いに降り込むオーロラ粒子を通じて電離圏へ投影されることで形成されると考えられている。このため磁気圏の状態を説明する上でオーロラの形状を詳しく調べることは重要な手掛かりとなる。 Shiokawa et al. [JGR, 2010] では、カナダのギラム(磁気緯度:65.5°N)での高分解能狭視野CCDカメラを用いた観測で、オーロラパッチの西側に小さいスケールの指状のオーロラ構造が発見された。この構造は夜側のサブストームの回復相に、東へ動くパッチの速度が遅くなったときに現れ、成因は尾部の磁気圏の巨視的なレイリー・テイラー型不安定性と推測されている。しかしこの現象の統計解析はまだなされていない。本研究ではノルウェーのトロムソ(磁気緯度:67.1°N)に設置された全天カメラで2009年1月から2012年11月の冬の期間に観測された、圧力駆動型不安定性に起因すると思われるオーロラ現象の発生条件についての統計解析を行った。この期間のオーロラ画像を調べた結果、オーロラアークから発達する「大きい」構造は14例、パッチの中に現れる「小さい」構造は6例見つけることができた。本研究では、それぞれの発生した時間帯のMLT依存性、サブストームとの関連性、スケール、東向き伝播速度、発達速度等について解析を行った。その結果、「大きい」構造は真夜中から朝側に見られ、「小さい」構造は朝側に良く見られた。開始時刻は、「大きい」構造はサブストームの回復層の始まりに、「小さい」構造はサブストームの終わり頃に対応していると考えられる。スケールはどちらも磁気圏におけるイオンのジャイロ半径よりも大きく、MHD不安定を示唆している。伝播速度は典型的な真夜中のオーロラのドリフト速度より遅く、低エネルギープラズマがソースとなっていると考えられるが、このことは高エネルギー粒子が圧力駆動型不安定を引き起こすことに矛盾するため、より詳細に調べる必要がある。