18:15 〜 19:30
[PEM28-P02] 偏光観測装置の開発と酸素原子630nmオーロラ偏光分布の観測
キーワード:オーロラ地上観測, 偏光
速度異方性を持つ降下電子との衝突によるオーロラ発光の場合、四重極放射である酸素原子557.7nmのようなある特定の遷移に制限されたものを除き、偏光することが示唆されている[Lilensten et al., 2006]。ただし、オーロラ発光領域は完全衝突大気ではなくかつ無衝突大気でもない中間衝突状態であるため、発光の偏光を理論的に見積もることが困難であった。近年の地上観測から、酸素原子630nmオーロラ発光が1-4%の直線偏光度を示し、その値がオーロラ活動とともに変動していること、視線方向と磁力線との角度が垂直な向きで、最大の直線偏光度が観測されることが示された [Lilensten et al., 2008、Barthelemy et al., 2011]。これは、オーロラ偏光から新たな物理量推定(降下電子の速度異方性等)ができる可能性を示唆している。
本研究はオーロラ偏光度を測定する観測装置を新たに開発し、校正方法を含めた偏光観測の手法を確立させ、観測的にオーロラの偏光度の分布を導出することを目的とする。
本研究では、回転ステージにマウントされた水晶5/8λ波長板と偏光ビームスプリッタを用いて偏光の成分(ストークスベクトル)を測定する偏光フォトメータを開発した。波長選択は固定で、630nm狭帯域干渉フィルターにより酸素原子630nm発光輝線のみ測定した。視野は約3度である。酸素原子630nmオーロラの偏光観測は米国アラスカ州ポーカーフラットにて2013年1月に約3週間実施された。実際の観測時には、一つの水晶波長板のポジションで2sの露出を行い、これを9ポジション行って1つの偏光データセットを得た。したがって、時間分解能は約30秒である。また、ポーカーフラットにおいて、直線偏光子とLED光源を組み合わせた校正光源をもちいたキャリブレーションを実施した。この1偏光データセットと校正光源データを組み合わせて、酸素オーロラ発光の直線偏光成分と円偏光成分を見積もった。とくにオーロラの円偏光成分の導出は世界で初めてである。
この結果、1月17日では14:00 UT付近で全天に広がるオーロラを観測し、オーロラ偏光度の磁力線との角度の依存性が明らかになった。すなわち、視線が磁力線と平行な向きで偏光度が大きくなるという結果が得られた。これは過去の研究成果と異なる結果であり、現在解釈を進めている。一方、1月18日には、オーロラの強度が上昇した11:30 UT付近で、直線偏光度が4%から8%に突然上昇するイベントを観測した。このことは、オーロラ活動に伴い降下電子速度異方性が変化したことを示唆する。
本研究はオーロラ偏光度を測定する観測装置を新たに開発し、校正方法を含めた偏光観測の手法を確立させ、観測的にオーロラの偏光度の分布を導出することを目的とする。
本研究では、回転ステージにマウントされた水晶5/8λ波長板と偏光ビームスプリッタを用いて偏光の成分(ストークスベクトル)を測定する偏光フォトメータを開発した。波長選択は固定で、630nm狭帯域干渉フィルターにより酸素原子630nm発光輝線のみ測定した。視野は約3度である。酸素原子630nmオーロラの偏光観測は米国アラスカ州ポーカーフラットにて2013年1月に約3週間実施された。実際の観測時には、一つの水晶波長板のポジションで2sの露出を行い、これを9ポジション行って1つの偏光データセットを得た。したがって、時間分解能は約30秒である。また、ポーカーフラットにおいて、直線偏光子とLED光源を組み合わせた校正光源をもちいたキャリブレーションを実施した。この1偏光データセットと校正光源データを組み合わせて、酸素オーロラ発光の直線偏光成分と円偏光成分を見積もった。とくにオーロラの円偏光成分の導出は世界で初めてである。
この結果、1月17日では14:00 UT付近で全天に広がるオーロラを観測し、オーロラ偏光度の磁力線との角度の依存性が明らかになった。すなわち、視線が磁力線と平行な向きで偏光度が大きくなるという結果が得られた。これは過去の研究成果と異なる結果であり、現在解釈を進めている。一方、1月18日には、オーロラの強度が上昇した11:30 UT付近で、直線偏光度が4%から8%に突然上昇するイベントを観測した。このことは、オーロラ活動に伴い降下電子速度異方性が変化したことを示唆する。