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[PEM33-P01_1] NICT新太陽電波望遠鏡-II
キーワード:太陽電波, 太陽コロナ, 電波スペクトル計, 宇宙天気
太陽電波バーストは、宇宙天気予報を行う上で監視すべき重要な現象の一つであると共に、太陽コロナ中でのCMEや衝撃波の伝搬、粒子加速・輸送等、コロナ中の高エネルギー現象を研究するための基礎データとしても重要である。GHz帯で観測されるバーストは太陽フレアや太陽コロナ中で生成される高エネルギー粒子の加速・輸送過程を反映している。その高エネルギー粒子が励起するコロナ中のプラズマ波動は、モード変換を受けることで電磁波として放射され、結果としてMHz帯の太陽電波バーストとして観測される。このように、GHz帯とMHz帯それぞれで観測される電波バーストは、コロナ中の高エネルギー粒子を軸として密接に関連している。したがって、コロナ中での高エネルギー現象を統一的に理解するためには、GHz帯からMHz帯までの非常に広帯域を連続的に、しかも高時間分解能で分光観測する必要がある。しかし、GHz帯からMHz帯までをカバーしている太陽電波分光計は世界的に見ても少ない。現時点で、世界で最も広帯域をカバーする太陽電波分光計はスイスのPhoenix-4であり、その帯域は100MHz~4.0GHz、時間分解能は125ミリ秒であるが、フレアによる粒子加速を直接観測するには、さらに高い周波数での高時間分解能分光観測が要求される。現在、NICTでは世界最高の周波数帯域(70MHz~9.0GHz)と時間分解能(8ミリ秒)を持つ新太陽電波望遠鏡の開発を行っており、2014年3月にアンテナの建設が完了し、テスト観測段階に入る予定となっている。本講演では、NICTで開発中の新太陽電波望遠鏡の現状を紹介する。