日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM34_1PM1] プラズマ宇宙:星間・惑星間空間,磁気圏

2014年5月1日(木) 14:15 〜 16:00 503 (5F)

コンビーナ:*松清 修一(九州大学大学院総合理工学研究院流体環境理工学部門)、成行 泰裕(富山大学人間発達科学部)、座長:成行 泰裕(富山大学人間発達科学部)

14:45 〜 15:00

[PEM34-07] 超新星残骸でのHalpha輝線放射と非熱的X線放射で測定した膨張速度の差異の理論的研究

*霜田 治朗1井上 剛志2大平 豊1山崎 了1添田 正信1 (1.青山学院大学、2.国立天文台)

キーワード:超新星残骸, 衝撃波, 宇宙線

粒子加速の現場であると考えられている超新星残骸では、加速電子によるシンクロトロン放射や、水素原子からのHα輝線等が観測されている。これら二つの放射の観測から、衝撃波上流の運動エネルギーをどれだけ加速粒子の生成に使ったのかが見積もられている(Helder et al. 2009)。標準的な粒子加速理論(D.S.A.)によると加速粒子は衝撃波近傍で加速すると考えられているので、X線シンクロトロンの放射領域の移動速度を観測することで衝撃波の速度、すなわち運動エネルギーが分かる。またHα輝線の線幅から衝撃波下流の温度が分かる。水素原子の電荷交換反応によって下流の陽子が水素原子から電子をもらいHα輝線を放射するので、下流の陽子温度に対応した線幅をもつと考えられるためである。しかし、これら二つの放射は同じ領域で光っているように見えるが、その移動速度はX線シンクロトロン放射が約6000km/s(Helder et al. 2009)、Hα輝線が約1200km/s(Helder et al. 2013) と大きな差があるため、X線シンクロトロン放射とHα輝線の放射領域は実は異なる可能性がある。本研究では衝撃波が伝搬する星間媒質の現実的非一様性によって衝撃波の伝搬速度に局所的な差が生まれ、衝撃波面の形状が波打つ効果を考える。この効果を考慮した3次元のMHD シミュレーション(Inoue et al. 2013)の結果を擬似的に観測することで上述のHelder et al. の結果が整合的に理解できることを示す。