日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM35_2PM1] プラズマ宇宙:シミュレーション技法,データ解析・可視化

2014年5月2日(金) 14:15 〜 16:00 503 (5F)

コンビーナ:*松清 修一(九州大学大学院総合理工学研究院流体環境理工学部門)、松元 亮治(千葉大学)、座長:松元 亮治(千葉大学大学院理学研究科)

15:00 〜 15:25

[PEM35-01] 粒子シミュレーションによる宇宙機近傍のプラズマ電磁擾乱の研究

*臼井 英之1三宅 洋平1 (1.神戸大学 大学院システム情報学研究科)

キーワード:衛星プラズマ環境, 宇宙機‐プラズマ相互作用, 電磁粒子シミュレーション, 衛星帯電, 電磁擾乱

人類の宇宙環境利用がますます盛んになる中、宇宙機とプラズマ(SP)の相互作用の理解が急務となっている。宇宙システムの長時間運用を保障し、また科学衛星の「その場」観測で得られる様々な情報を正しく解釈するには、このSP相互作用の定量的な理解が不可欠となる。宇宙環境においては, 人工衛星やステーション等の宇宙機は宇宙プラズマとの接触により帯電し,その浮遊電位は衛星表面での電流バランスによって決定される。その電流は、背景プラズマの流入のみならず、衛星表面から放出される光電子や二次電子、そして、イオンエンジンンに代表される電気推進器からの能動的なプラズマ噴射からなる。この衛星帯電により衛星周辺のプラズマ環境は影響を受ける。シースやウェイクと呼ばれる非一様なプラズマ領域が衛星近傍やプラズマ流下流に形成されるとともに、衛星周辺の電磁界も擾乱を受ける。これらのSP相互作用を理解することは科学衛星によるプラズマ環境観測やそのデータ解析において重要である。なぜなら、これにより衛星観測データから衛星起源の人工擾乱の影響を分離することができるからである。また、電界センサーなど衛星搭載観測機器を設計する上で信頼できる観測データを得るには衛星近傍擾乱を最小限に抑えることが必要であるが、この擾乱状態を自己無撞着に得るために、我々は衛星筐体をシミュレーション領域に取り込んだプラズマシミュレーションを行っている。 このSP相互作用問題を解くために、我々はEMSESプラズマ粒子シミュレーションコードを開発した。EMSESは標準的な電磁PIC手法をもとにし、それに衛星の金属筐体をキャパシタンス行列法によりシミュレーション内に取り込む。加えて、衛星表面からの光電子や2次電子放出も数値的に再現できる。これまで、EMSESを用いてGEOTAIL、BepiColombo/MMO、そして Solar Probe Plusの各衛星の環境についてシミュレーション研究を行ってきた。 本講演では、まずEMSESにおける宇宙機の数値的な取り扱いを簡単に紹介し、その後、EMSESを用いて行った科学衛星環境解析の事例をいくつか紹介する。まず、希薄プラズマ流中でのCluster衛星後方に形成されるウェイク領域とその電界計測への影響に関するシミュレーション結果を紹介する。このシミュレーションでは、mmオーダーの非常に細いワイヤーブームを数値的に取り込むことに成功し、実パラメータレベルで衛星帯電によるウェイク領域の形成、その電界計測への影響を明らかにすることができた。また、最近の研究トピックとして太陽近傍環境におけるSP相互作用のEMSESシミュレーションも紹介する。強い太陽光により光電子放出量が増大し、それにより衛星表面近傍で負電位バリア領域が形成される。これにより正味の光電子量が抑制され結果として衛星は負に帯電するが、この状況での衛星電磁環境について述べる。