日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM35_2PM2] プラズマ宇宙:シミュレーション技法,データ解析・可視化

2014年5月2日(金) 16:15 〜 17:00 503 (5F)

コンビーナ:*松清 修一(九州大学大学院総合理工学研究院流体環境理工学部門)、松元 亮治(千葉大学)、座長:三好 隆博(広島大学大学院理学研究科物理科学専攻)

16:15 〜 16:30

[PEM35-04] プラズマハイブリッドシミュレーションモデルの一般化

*天野 孝伸1東森 一晃1白川 慶介1 (1.東京大学地球惑星科学専攻)

キーワード:プラズマ, 数値シミュレーション

宇宙プラズマの非線形現象を扱う自己無撞着な数値シミュレーションモデルとして,イオンを運動論的に扱い電子を慣性の無視できる流体として扱うハイブリッドモデルが広く用いられている.この手法は電磁流体スケールからイオンの慣性長のスケールまでを正しく取り扱うことが出来るが,一方で質量0の電子の存在を仮定しているため高周波のwhistler波の取り扱いが困難であり,このため数値的安定性に問題を抱えていた.我々は最近,ハイブリッドモデルに電子慣性効果を「適切に」組み込むことによってこの問題が解決できること,またこれによって低密度領域や真空領域の扱いが可能になることを示した.本研究ではこのモデルを更に発展させ,電子の運動論的効果を組み込む手法の可能性について議論する.電子の運動論的効果は一般的には最も原始的なVlasov-Maxwell方程式を用いなければ扱うことが出来ないと考えられている.このモデルでは電磁波やLangmuir波などの高周波の波動までが全て含まれており,特に宇宙プラズマでは多くの場合において電子のプラズマ周波数とサイクロトロン周波数は前者の方が非常に大きいため,計算量が莫大になってしまうという問題が有る.逆に考えれば,例えば電子とwhistler波とのサイクロトロン共鳴などを考える際には高周波成分による寄与は小さいと考えられ,近似的には準中性条件が成り立っているものと予想される.そこで本講演では電荷中性条件を仮定した,イオンと電子を共に運動論的に粒子として扱う手法の是非を検討する.基本方程式としてはMaxwell方程式の変位電流を無視したVlasov-Ampere方程式系を採用し,静電場についてのPoisson方程式は用いない.従って本モデルでは電場は通常の一般化されたオームの法則に対応する方程式から決定する必要が有るが,この電場の決定方程式をVlasov-Ampere方程式系より厳密に導出した.講演ではこの厳密な方程式を用いることによって電荷中性条件を仮定しながらも電子サイクロトロン共鳴の正しい取り扱いが可能とあることを示す.