18:15 〜 19:30
[PEM36-P16] 小型ファブリ・ペロー干渉計を用いた熱圏の温度推定手法の改良と得られた温度の精度評価
キーワード:ファブリ・ペロー干渉計, 熱圏温度
ファブリ・ペロー干渉計は、630.0nmの波長を持つ地球の酸素大気光を地上から観測することで、熱圏における中性風の風速と温度を計測することができる装置である。名古屋大学太陽地球環境研究所では、超高層大気イメージングシステムの一部として、5台のFPIを所有している。そのうちの2つのFPI(FP00,FP01)は、直径116mmのエタロンを用いており、2000年に日本(FP00)、2009年にノルウェーのトロムソ(FP01)にそれぞれ導入した。また、その他のFPIは、70mmの小型エタロンを使用しており、2010年から2011年に、タイ(FP02)、インドネシア(FP03)、オーストラリア(FP04)に導入した。これらの3つの小型FPIは、高感度で干渉フリンジを得るために、1024-1024ピクセルで4段ペルチェクーラーを用いた冷却CCDカメラを用いている。しかし、これらの新しく導入された小型FPIを用いた観測から、妥当な温度を導出することができていなかった。そこで本研究では、小型FPIにおける温度導出手法を改良するとともに、得られた温度の精度を評価し、さらに、これまで得られている2年~3年分のデータに対して統計解析を行うことを目的とする。
FPIは、光の入射部のミラーを回転させることで、南北東西の空とレーザーをそれぞれ観測している。しかし、南北東西の撮影から得られるそれぞれの干渉フリンジ画像に対して中心を決定したところ、それらの中心は、南北と東西の方角とレーザーのそれぞれでわずかに異なることがわかった。これは、FPIの上部にある光を入射するミラー部が重いために、光学系がゆがんでいることが原因であると考えた。そこで、旧来は、南北東西それぞれの方角から得られた干渉フリンジ画像を一括した一晩平均の画像から中心決定を行っていたが、本研究では、南北東西それぞれの干渉フリンジ画像からそれぞれの中心を決定することにした。以上の改良の後、温度導出を試みたところ、妥当と思われる温度を得ることができた。本発表では、輝度と温度の標準偏差の関係を明らかにして、温度導出の精度について紹介する。また、FPIのエタロン間隔の温度変化が、熱圏の温度、風速の導出精度にどの程度の影響を及ぼすのかについても今後、実験をして検討していく予定である。
FPIは、光の入射部のミラーを回転させることで、南北東西の空とレーザーをそれぞれ観測している。しかし、南北東西の撮影から得られるそれぞれの干渉フリンジ画像に対して中心を決定したところ、それらの中心は、南北と東西の方角とレーザーのそれぞれでわずかに異なることがわかった。これは、FPIの上部にある光を入射するミラー部が重いために、光学系がゆがんでいることが原因であると考えた。そこで、旧来は、南北東西それぞれの方角から得られた干渉フリンジ画像を一括した一晩平均の画像から中心決定を行っていたが、本研究では、南北東西それぞれの干渉フリンジ画像からそれぞれの中心を決定することにした。以上の改良の後、温度導出を試みたところ、妥当と思われる温度を得ることができた。本発表では、輝度と温度の標準偏差の関係を明らかにして、温度導出の精度について紹介する。また、FPIのエタロン間隔の温度変化が、熱圏の温度、風速の導出精度にどの程度の影響を及ぼすのかについても今後、実験をして検討していく予定である。