日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS21_29PM1] 惑星科学

2014年4月29日(火) 14:15 〜 16:00 416 (4F)

コンビーナ:*奥住 聡(東京工業大学大学院理工学研究科)、黒澤 耕介(千葉工業大学 惑星探査研究センター)、座長:小林 浩(名古屋大学理学研究科)、玄田 英典(東京工業大学 地球生命研究所)

14:15 〜 14:30

[PPS21-14] 原始惑星系円盤における電場加熱によるデッドゾーン

*森 昇志1奥住 聡1 (1.東京工業大学)

キーワード:原始惑星系円盤, 電離度, ダスト, 磁気乱流, 電場加熱

現在,原始惑星系円盤の形成初期の角運動量は,磁気回転不安定性 (MRI) に起因する磁気乱流によって円盤の外側へ輸送されると考えられている.一方で,原始惑星系 円盤は電離度が低いため,磁気乱流を維持するほど電流が流れられず,磁気回転的に安定な領域 (デッドゾーン) が存在する (Sano et al., 2000).原始惑星系円盤における乱流は,サブミクロンサイズのダストからキロメートルサイズの微惑星まで,その成長に影響を及ぼす.そのため,いつ,どこに,どの程度の乱流が存在するかを知ることは惑星形成を考える上で無くてはならない.本研究では電子の電場加熱による電離度の変化に着目する.これまで原始惑星系円 盤での磁気乱流に関する研究は,常に電子の温度は中性ガスの温度に等しいとしている.しかし,磁気乱流の成長による電場の上昇は非常に強い電場を形成し,電場による電子の加熱が無視できない可能性がある (Inutsuka & Sano, 2005).高温な電子はダストに吸着されやすいため,気相の電子の数密度は減少する.これらの結果として, ある電場強度の範囲では,電場の上昇に伴い電離度が減少する (Okuzumi & Inutsuka, in prep).電離度の値は乱流の強さに影響を及ぼす.そのため原始惑星系円盤における電子の電場加熱の重要性を検討する必要がある.本研究では原始惑星系円盤で電子の電場加熱による電離度の減少が起こる領域を求めた.従来のデッドゾーンの外側では,磁気乱流と共に電場が発達するとして.電場に対する電離度の値を計算した.その結果,ダストサイズ 0.1μm,縦磁場の強さ 0.05G,ダストガス質量比 0.01の最小質量円盤では,70AUまで電場加熱によって電離度が減少する領域が広がることを明らかにした.また簡単な見積もりによって,この領域では従来考えられていたような激しい乱流は起きないことが示唆された.