日本地球惑星科学連合2014年大会

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セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS21_29PO1] 惑星科学

2014年4月29日(火) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*奥住 聡(東京工業大学大学院理工学研究科)、黒澤 耕介(千葉工業大学 惑星探査研究センター)

18:15 〜 19:30

[PPS21-P20] 土星を模した磁場中で磁軸対称の石が相互に干渉しあうことを証明するための実験~土星の環を生成し維持する力~

*間瀬 博文1 (1.所属なし)

土星の磁場は巨大な双極子磁場と言えるほど整っており、さらにこの磁軸は自転軸と一致している(1)。この観測事実は奇跡的である。さらに土星の環は土星の赤道面を公転している(2)。これが自明であるとの説明はいまだなされていないと思われる。故にこの観測事実も奇跡的である。
美しい環の奇跡的な存在理由を、これまでに確認されている上述の奇跡的な特徴に結び付けて考えたい。双極子磁場の中心を通り磁軸に垂直に交差する面(磁場赤道面という)上では磁軸対称にあるものの間で相互に引き合う力(割増引力)が発生する。つまり環を構成する物質は割増引力によって180度反対側の物質と繋がれるために土星の環は生成され維持されている。この理論を証明する実験に取り組んでいるので成果を紹介する。
理論を簡単に説明したい。磁石では電子のスピンが一方向(磁軸に平行)に揃うとされる。電子には周囲から常時エネルギーが流入する(私は電子はエネルギー補給なしで万年運動できるほど目出度いものとは考えない)。磁場赤道面に沿う方向ではスピンのためのエネルギー消費が多いからそれを補給するため流入量も多い状態(逆に磁軸方向は少ない状態)になる。磁石の磁場赤道面上に磁軸対称になるよう2個の普通の石を配置する。「衛星(石)A‐天体(磁石)B‐衛星(石)C」の並びで、A,B,C(の電子1個あたり)に流入する磁場赤道面上のエネルギーの大きさでは「A普通‐B多い‐C普通」の並びである。これは私が提唱してきた2温度回転円盤そのものなのでAとCが割増引力で引き合う(3)。
****実験の構成(図面を参照)**
A,C:天然砥石(砂岩)を切断したもの(34L×25W×25H)
B:永久磁石(異方性フェライト,40L×40W×10H,表面磁束密度B=79mT,吸引力F=2.746kgf)を4~8個を重ねたもの(40L×40W×40~80H)
装置箱:市販の二段ボックス(木質)を横に寝かせた状態(280L×580W×410H)で利用する。中板を境に左室、右室と呼ぶ。中板に150×150程度の穴を、左室の天板に50×50程度の穴を開ける(中板に近い位置)。天板の穴の上にはφ65×1,000Lの塩ビパイプを取り付ける。左室の前面はベニヤ板を枠としたガラスを張る。右室は前面がそのまま開放である。150×150×3tのベニヤ板に穴を開けBをはめ込んだ状態で穴とBの隙間をコーキングする。そのベニヤ板を中板に中板の穴を塞ぐように貼り付ける。左室は塩ビパイプ上端以外は気密状態となる。
Aは天井から2本の糸(1,700L)で吊り下げられ左室内で自由揺動できるが静止点ではBとの間隙が20mm程度であるとする。Cは右室内天板から糸で吊るされ、Cの右側面には別の糸の端が接着されている。装置箱の右側から糸を引けばBからCを離す(状態C1)ことができ、緩めればCをBに間隙が20mm程度に接近させる(状態C2)ことができる。
****変化させる条件** Bの構成と向きを変化させ次の3通りとした。条件1:縦8個重ね(磁軸鉛直)、条件2:縦4個重ね(磁軸鉛直)、条件3:横4個重ね(磁軸左右水平)
****毎回の手順** 1.Aを極力静止させる(状態C1)。2.ビデオカメラでAの撮影を開始する(状態C1)。3.開始2分後C1からC2へ(状態C2)。4.開始4分後C2からC1へ(状態C1)。5.開始6分後C1からC2へ(状態C2)。6.開始8分後撮影を終了する。
****結果** 完全静止は困難で撮影開始時、Aは微小に揺動していた。1.条件1及び条件2の場合、最初の(状態C2)の時間帯に揺動が抑制され、2回目の(状態C2)の時間帯に揺動が増幅された。2.条件3の場合、全時間中にAの特別な変化は認められなかった。
****考察** 条件2と条件3の比較により静電気や磁気の悪影響はないと考えてよさそうである。予想した力が検出されている可能性がある。
参考文献
(1)堀安範(2013)/「第13回森羅万象学校」/国立天文台
http://th.nao.ac.jp/MEMBER/hori/pdf/HORI_2013Mar26_part1.pdf P23
(2)平塚市博物館/「土星の耳 リングの消失」 http://www.hirahaku.jp/hakubutsukan_archive/tenmon/00000050/59.html
(3)間瀬博文(2008)/『ひので』(SOLAR-B)の観測成果により得られた、巨大フレアの典型事例の解法/地球惑星科学連合2008年合同大会/E108-P007