日本地球惑星科学連合2014年大会

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ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS22_1PO1] 隕石と実験からみた惑星物質とその進化

2014年5月1日(木) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*木村 眞(茨城大学理学部)、大谷 栄治(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、宮原 正明(広島大学理学研究科地球惑星システム学専攻)

18:15 〜 19:30

[PPS22-P01] 小惑星レゴリス模擬標的に対する衝突実験:他天体由来インパクターの破壊と捕獲

長岡 宏樹1、*中村 昭子1鈴木 絢子2長谷川 直2 (1.神戸大学大学院理学研究科、2.宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)

キーワード:隕石, 衝突過程, 小惑星

本研究では,角礫岩質隕石が形成される過程に着目し,小惑星レゴリスを模擬したシリカサンドに,他天体を模擬した岩石弾丸を衝突させ,衝突速度やシリカサンドの粒径と弾丸の破壊の程度の関係を調べた.
これまでの室内衝突実験では標的の破壊条件は詳しく調べられているのに対して,弾丸の破壊についてはほとんど研究がなされていない.そこで,神戸大学の火薬銃とガス銃を用いて,衝突速度 1 ㎞/s 以下の低速度実験を行い,宇宙科学研究所の二段式軽ガス銃を用いて,小惑星帯での平均衝突速度約5 km/s を模擬する高速度実験を行った.弾丸物質として,標的破壊実験との比較のためにパイロフィライトと玄武岩を用いた.実験後に,シリカサンドの中に埋まったインパクターの破片を回収し,最大破片の質量を測定した.
弾丸の最大破片質量割合と,衝突時に発生する圧力を弾丸物質強度で規格化した値の関係を調べたところ,低速度衝突では,動的引張強度程度の圧力で壊れることがわかった.しかし,高速度衝突では,最大破片質量割合が低速度衝突から予想される値よりも大きくなり,特に、シリカサンドの粒径が小さいときにその傾向が顕著であった.その原因は,破片同士や破片とシリカサンドがユゴニオ弾性限界以上の加圧による塑性変形と衝突の温度上昇による焼結もしくは溶融により付着したことによると考えられる.特に,衝突速度 5 km/s で得られた弾丸破片の電子顕微鏡画像では,多数の気孔の存在が確認された.弾丸破片の溶融は,シリカサンドの圧密に伴って発生した熱によるものと考えられる.